第1章 呼び方
浩志の事が好きなんだと気付いたのは、
二人が付き合いはじめたからで…。
だから、私の初恋ってやつは、気付いた時点で無様に終わったのだ。
いつの間にかにょきにょきと伸びていった浩志の背。
広がっていく身長差に比例するように、私達の距離は遠ざかる。
否、違うかな?
私が遠ざけた。
それでも、完全に切り離す事は出来なくて、
『手のかかる妹が放ってはおけない』なんて理由を自分につけて、
結局、同じ高校に進学してもう3年目。
未だに未練はタラタラだ。
うん。らしくない…。
らしくない…。
恋する乙女とか…
そうゆうのは妹の専売特許だ。
強く、逞しくってのが、私だ。
だから、
せめてもの抵抗のつもりで、
私は浩志を名前で呼ぶのをやめた。
『私と君は幼なじみです』
誰よりも自分に言い聞かす為に、
まずは呼び方を変えてみた。