第7章 気持ち
「あっ、来たっスよ。早川せんぱーい」
手を振る黄瀬に「おう!」と手を上げて駆け寄ってきた。
「分かるか?」と答えを知ってる森山が得意気に聞くが、
「こっちが、葉菜さんっす!」
と、いとも簡単に私を指差した。
「合ってる…」と未菜が驚く。
「小堀はともかく、なんでコイツがわかるんだ?」
「たぶん、動物的勘みたいなやつっスよ」
と失礼な会話をする森山と黄瀬に
「わか(る)っすよ。未菜さんと葉菜さんは別人っすよ!」
と、さも当然かのように言ってのけてニカっと笑う。
私達をセットにしない人は、
私を未菜の姉ではなく、私として見てくれた人は、
小堀以外では、はじめてかもしれない。
タイプは全然違うけど…。
というか、やかましい人は苦手なんだけど…。
ちょっと、
いや、だいぶ?
私の気持ちは傾いていた。
彼への気持ちが変わって行く。