第16章 〜さあ、原作の始まりへ……〜
prrrrr………
車で現場に向かう中、私の携帯が鳴った
椎奈「はい?」
村田《もしもし。ニュースで見たが、大変だったな》
椎奈「見てたんだ…。弟が有名になったのは嬉しいんだけどねぇ…」
取材陣の迫りようを思い出し、私は苦笑いした
村田《もう取材はこりごり、か》
椎奈「うん。たまに仕事場に押し寄せたりもするからね」
村田《公安で追い払ってやろうか?》
椎奈「いや、それダメでしょ」
他に大事な仕事ないの?と返すと、
君を色んなものから守るのも大事な仕事だよ、と言われてしまった
椎奈「(マスコミ完璧に敵扱いされてる…)」
しかし、そんなツッコミはよしてゴホンとわざとらしい咳で話題を逸らした
椎奈「そういえば、風見さん元気?最近見てないけど…」
村田《ああ。アイツは最近、零のサポートに回ってるよ》
椎奈「うわぁ、大変そう…」
新一も名を馳せたことで、これから始まるだろう原作の本格的なスタートを感じた
余計に苦労させることを考えると申し訳なくなってくる
村田《…そういえば、来週末は空いてるか?》
椎奈「へ?来週末?」
少し待つように言って、スケジュールを確認
椎奈「夕方からなら空いてるけど…」
村田《それでいい。俺とトロピカルランドへデートに行こう》
椎奈「トロピカルランド…」
このタイミングで彼からトロピカルランドとは…。
私は思わず顔をこわばらせ、声を低くして尋ねた
椎奈「…何か隠してない?」
村田《バレたか…。実はトロピカルランドに組織の連中が来るという情報を得てな…。カップルのふりで偵察に行こうかと…》
椎奈「…公安の女の人は?」
村田《仕事目的だけなんて味気ないだろ?行くなら君とがいい。もちろん、組織と公安の仕事には関わらせないから安心してくれ》
椎奈「そう。でも今回は私、公安の仕事に参加したいな》
トロピカルランドは、新一が組織の取引を目撃して幼児化した場所
原作がだいぶ変わるが、阻止できるなら阻止したい…