第11章 〜なんか隣に引っ越してきた〜
中居さんの家に入ると、すぐにリビングへ案内された
自分もリビングに入ると、中居さんは力を抜くようにため息をついた
村田「…椎奈悪いな。こちらの都合に巻き込んで」
椎奈「仕方ないよ。命かかってるもの」
村田「そうだな…。ありがとう」
和人お兄さんが私を撫でる
椎奈「あ…そういえば。ここに越してきたってことは、組織は騙せたんだ?」
村田「ああ」
椎奈「でも私の家の近くでなくてもいいんじゃ…」
村田「…君は嫌なのかい?」
眉を八の字にして、シュンとなる和人お兄さん
計算高い。実に計算高い
わかってるのに、私は慌てて弁解する
椎奈「そ、そんなわけないじゃない!!好きだよ、大好きだから!ね?!」
村田「…なかなか恥ずかしいことを言ってくれるね。ストレートな告白みたいだよ」
椎奈「いや、違うから。友情みたいなもんだか。言わせたのそっちだよ?!」
顔を赤くして照れている和人お兄さんに、呆れていた私
それを見て和人お兄さんは苦笑い…
村田「うん、それはそうだ。
(…対応には気をつけないとな。まだ高校生の彼女を弄って告白まがいなことを言われて、トキめいてしまった…。シャレにならない)」
これを報告した時の友人たちを思い浮かべて、和人お兄さんが、『犯罪だぞ!!』と零お兄さんに責められる自分を想像していたなんて、思いもしない
椎奈「それで。お兄さんのせいで脱線したけどなんでウチのご近所?」
村田「公安の上層部からの命令でね、君を見守るように言われたんだよ」
椎奈「どういうこと?」
なぜ私に公安の人が関わりを持つ必要があるんだろうか
村田「…君の家から帰った次の日、俺は組織にNOCだとバレたことを報告した。そして、俺が無事でいる経緯を色々聞かれた。そして詳細を報告する義務があって君に助けられたことも、転生云々を抜きにして報告することにした…」
椎奈「なるほど」
こういう報告はとても重要なことだ
申し訳なさそうに話す彼だが、私はむしろ転生云々以外なら上に報告しても構わないと思った