第9章 〜私の進路〜
第三者side
ーーーーーーー 一ヶ月後
警視庁捜査一課強行犯係
あの爆弾事件のあと、萩原は爆弾魔の犯人を追うべくここに移動してきた
彼は周りと馴染みやすい体質らしく、少ししか経っていないのに友人ができていた
だが、彼が専ら一緒にいるのは、やはり警察学校からの付き合いの松田だった
この日も、彼らはともに外で事件を追って捜査し、帰ってきた
室内のデスクに疲れた体を凭れさせていたときだ……
佐藤「うそっ?!それってあの爆弾事件のとき観覧車にいた椎奈ちゃんじゃない!」
松田・萩原「「あ? / ん?」」
みんなが休憩中の室内に、佐藤の声が響く
みんなが何事かと見ている間も、捜査一課の華・佐藤美和子と交通課の宮本由美の話は続く
宮本「あれ、美和子知ってるの?でもさ、すごくない?!まだ高校一年生で、デビュー雑誌でこんなに取り上げられてるんだもの!『絶世の美女?!藤峰有希子の後継者現る!!』って」
由美が雑誌の表面を佐藤に見せると、その方向に座る松田と萩原の目にも自然と目がいった
その表紙を飾る人物は、彼らのよく知る人物だった
松田「!!おい、それ借りるぞ!!」
宮本「え?!ちょっと?!」
由美の手からバッと奪うと、松田と萩原はそれをマジマジと見た
薄メイクをし、カメラ目線で淡く微笑む新人モデル・『藤峰椎奈』を……
萩原「…おい、松田。椎奈ちゃんの名字…」
松田「あえて大女優だった母親の旧姓を借りたんだろうよ」
萩原「へぇ…。にしても、すっぴんでも歳重ねるにつれて美人になってくのにメイクすると一気にそれが際立つな…」
松田「あいつの場合はその自覚がねぇから怖ェ…」
そんな会話をしながらも、ペラペラとめくって彼女が載るページを探す二人
男がファッション雑誌を読むというなんとも言えない異様な光景だ
しかも、松田と萩原が。笑うどころか寒気ものである。
宮本「…あの2人すごい食いつきっぷりね」
佐藤「そりゃあ、あの子とすごく仲がいいみたいだし…」
彼らが椎奈に電話するのを佐藤は何回か見たことがあるようだった