第40章 〜ウエディングイブ〜
多少抵抗されはしたものの、車に押し込んだ彼は車に火をつけ急いで店に戻り、トイレで元の服装に戻ってウェイターである僕にわざと殴りかかって怪我をし、彼女に引っ掻かれた傷をごまかした
そしておもむろに彼女に電話するそぶりを見せ、遺言めいたことを言われたことを周囲の客に思わせ、窓の外に目をやって炎上した車を客たちに見つけさせる
そのときにスプレー缶が爆発してラッキーでしたね、と安室は少々無理のある推理を披露した
目暮「しかし、その推理だと変装に使った服などがトイレから見つかるはずだが?」
安室「切り刻んでトイレに流したんでしょうね。ニット帽ならもちろん、薄いナイロン製のウィンドブレイカーなら細かく刻めますからね」
椎奈「…じゃあ、靴はどうしたんですか?靴は切り刻めないわ」
安室「靴なんて履き替える必要はありませんよ。歩き続けて止まらなければ、どんな靴かなんて判別できませんし…。幸い、彼の靴はどこにでと売ってそうなスニーカーですし…」
小五郎「じゃあ伴場、脱いで見せてやれ。お前のスニーカの裏側を。それはお前が犯人じゃないという、おそらく椎奈ちゃんが言っていた『外に出ていない証拠』だ」
小五郎さんに導かれるまま、伴場さんはスニーカーの裏側を見せた
そこには、初音さんが出かける前に彼が踏んでしまった生クリームが付いている。外に出ればそんなものは取れるため、犯行は不可能なのだ
安室「で、でもDNAは?! 彼女の付け爪の先に彼のDNAとほぼ一致したものが付いていたんですよ?!彼がそのとき、彼女のそばにいた証拠じゃないですか!!」
小五郎「付け爪に付いていた皮膚が、彼女本人のものだったっていうのは考えねぇのかよ?」
安室「なに言ってんですか! さっきも言いましたが、血縁者でないかぎりDNAのほぼ一致はあり得ません。現在、同じ型のDNAが現れる確率は、4兆7千億人に一人とされていますし、女性には男性だけが持っているY染色体が無いからすぐに分かりますよ」
小五郎「問題のその皮膚が雨や泥で汚染され、性別のところが不明だからほぼ一致になってるかもしれねぇだろ」
安室「だ、だとしても! その2人が偶然出会い、たまたま恋に落ちて結婚しようとしたって言うんですか?!」