第40章 〜ウエディングイブ〜
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バリーンッ
椎奈「!!」
ふと、ガラス細工の割れる音がして、目の前の料理に向けられていた意識が全体に向けられた
バッと音のした方へ振り向くと、ちょうど女のウェイターさんが「ちょっと…なにしてるの?!」と安室さんに尋ねていた
安室「い、いや…いきなりこのお客さんが殴りかかってこられて…。大丈夫ですか?」
伴場「触んな!!」
自分に伸ばされた彼の手を、伴場さんが怒りを込めて叩く
飲み過ぎだ、落ち着けと注意する周りだが、手の怪我も特に気にしなかった彼は、その場を離れながら携帯を取り出す
伴場「俺が今話があんのは、初音だよ…」
小さな声でそう呟きながら、伴場さんは初音さんへ電話をかける
伴場「おう初音か?。今どこだ?」
電話が繋がったのか、彼女と会話する伴場さん
しかし、彼の表情は困惑したものに変わった
伴場「…は? サヨナラってなんだよ。おい、初音? 初音?!」
携帯に向かって彼女の名前を叫ぶ伴場さん。そして、彼はふと窓の外に目を向けた
その時だった───
駐車場の車が一つ、突然の爆発を起こしたのは……
ーーー第三者side
その後、目暮たち警察がやってきて、現場検証が行われた
遺体は真っ黒に焦げていて見た目には誰か分からず、歯の治療痕で調べられるらしいが加門初音さんで間違いないだろうと警察は判断した
目暮「車が燃える直前に、その加門さんから自殺をほのめかす電話があったのは本当かね?」
高木「ええ」
千葉「警部」
高木と目暮が事件について話していた時だ
その近くで炎上した車の後ろのトランクを開けて調べていた千葉が、目暮を呼んだ
千葉「中に旅行用の大型スーツケースが入ってました」
小五郎「───おそらくそれは、ハネムーンに行く準備をしていたんでしょう」
途端に聞こえた小五郎の声に、「また君か…」と言いたげなうんざりしたような顔を一瞬見せた目暮が、小五郎を見た
小五郎「なぜなら明日、彼女は結婚する予定でしたから」