第37章 〜ボクっ娘との出会い〜
それから、路地裏を抜けようと曲がり角を人通りの良い行ける方向に曲がった犯人を追いかけるべく私もユキも走り出した。
ただ……。
椎奈「(えっ、ユキちゃん早すぎでしょ…。猫だから当然だけど飼い主置いてかれる!!)」
ユキ「にゃあ〜」
チリンチリンと鈴を鳴らしながら早いスピードで犯人の背中に迫るユキ
後ろに猫を捉えた犯人は舌打ちし、徐々にスピードを上げていく
間もなく、道は人通りの良いところに交わる
犯人がそれに笑みをこぼしたその時、その道の前を一人の人間が通りかかる
犯人「邪魔だ! どけぇえ!!」
?「?」
椎奈「そこのお兄さん!! その盗人止めてください!!」
不思議そうに立ち止まってこちらを見たお兄さんに、私はそう叫んだ
すると犯人は強行突破を選んだのか、そのお兄さんを避けるそぶりも見せずまっすぐに突進する
しかし……
?「ふっ、それは軽率すぎる判断じゃないか? 犯人さん!!」
そのお兄さんさんは目深にかぶった帽子で顔はよく見えないが、ニヤリと笑って犯人に拳を打ち込んだ
犯人「ぐはっ」
椎奈「!!」
いや、拳だけじゃない。最後にお兄さんは脇腹へ蹴りを入れ、犯人をノックアウトした
私はそれを見て、思わず立ち止まった
?「case closed!!」
椎奈「(なっ…今のってジークンドーじゃない! 声も男の人より女の子っぽかったし、あの口癖ってまさか…)」
そうして私が呆然と立ち止まっている間に、目の前のお兄さん───いや、彼女は犯人が落としたカバンを取って土を払うと私に差し出した
?「ほら、これアンタのだろ?」
椎奈「あ、どうもありがとう…」
やっぱり君か、世良ちゃん……!! そろそろ現れると思ってたよ!!
表の顔は緊張気味だが、私は心の中で叫んでいた。