第37章 〜ボクっ娘との出会い〜
ーーー夕方
カメラマン「───はい、撮影終了でーす! 椎奈ちゃんお疲れ〜」
椎奈「お疲れ様で〜す」
本日最後の仕事、来月号のファッション雑誌の撮影がこれで終わった
今回はスタジオの中ではなく、外での撮影となっていた
仕事関係の人たちに労いの声をかけつつ、「椎奈ちゃ〜ん」と呼びかけてくるファンに笑顔で手を振る
するとファンたちの「きゃ〜〜!!」という嬉しそうな声が聞こえ、それに苦笑いしつつ茜さん(マネージャー)の車に乗せてもらった
椎奈「茜さん、買い物したいからデパートの近くで下ろしてくれる?」
茜「ええ。今日も路地裏でいいのかしら?」
椎奈「うん。目立ちたくないからね」
そんな話をしながらも、車はしばらく走って行く。
そして路地裏に着くと、言った通りに降ろしてもらった
椎奈「ありがと」
茜「じゃあまた明日の朝にね。迎えに行く時間は後で連絡するわ」
椎奈「りょーかい」
茜さんとお別れして路地裏からその車を見送った後、ガサゴソと動いている大きめのカバンから起きたてのユキを出した
椎奈「おはよう、ユキ。ぐっすり寝てたね〜」
ユキ「にゃ〜」
なんとなくポケーっとしているユキを撫で回していると、遠くからタッタッタッと誰かが走ってくる音がした
椎奈「?」
私はそんなに慌てて何事だと思い足音のする方を見る
そしてそれは、そばに置いていたユキを入れていたカバンが取られたのとほぼ同時であった……
椎奈「ああ!! 」
カバンを盗んでいった犯人の背中を見て、私はやっと状況を飲み込み大声で叫んだ