第36章 〜赤白黄色と探偵団〜
光彦「じゃあこれからみんなで開人くんのお見舞いでも行きますか!」
歩美「さんせーい!」
元太「遠いから、博士に車で連れて行ってもらおうぜ!」
沖矢「博士?」
子供たちの会話をふと小耳に挟んだらしい沖矢さんが、彼らの前にしゃがみ込んだ
沖矢「君たちの知り合いに博士がいるのかい?」
歩美「うん、いるよ!」
元太「いつもくだらねぇゲーム作ってるけどよ!」
沖矢「ホォー。その博士に会ってみたいな…」
歩美「いいよ!案内してあげる!」
沖矢「それはありがたい」
子供たちはとくに何も思うことなく、沖矢さんを博士に紹介するつもりのようだ
その一連の流れを見て、内心で苦笑いした
椎奈「(子供たちになんの疑問も抱かせずさりげなく博士と知り合おうとするなんて…。さすがです、赤井さん…)」
姿も声も話し方も違うため、うっかり別人と間違えそうなほどその変装は完璧なものだ
そんな彼に尊敬の念すら抱いていると、子供たちは次に私を見た
歩美「椎奈お姉さんは、これからどうするの?」
椎奈「ん? そうね…私はもともと通りすがっただけだから、帰ろうかしら」
元太「じゃあ椎奈姉ちゃんも一緒に博士に送ってもらおうぜ!」
椎奈「え?」
元太くんの提案に、私は思わずキョトンとした
博士の家に行くには、元来た道をまた戻らなければならない…。
それを考えて少し答えるのを渋っていると、子供たちが拒否されそうな不安の眼差しで私を見ていた。それに苦笑いを漏らした私は、仕方ないと息をついた
椎奈「…じゃあ、お言葉に甘えて私も博士のところに行こうかしらね」
子供たち「「やった〜!!」
そうして飛び上がって喜んだ子供達は、「じゃあ荷物は僕たちが持ちますね」という光彦くんの宣言で私の運んでいた荷物を分担してせっせと先に歩き出した
それを呆れたように見ながらコナンくんが私の足元まで来て、小声で私に言ってくる
コナン「姉さん、少し奴らに関する話があるんだけど…いい?」
椎奈「ええ。博士の家に行ってから聞くよ」