第36章 〜赤白黄色と探偵団〜
そう言って、沖矢さんは火事現場をちらりと見た。何冊もの本がそこで灰になったかと思うと、自分の事でなくても妙に悲しくなってくる。そして、彼は次に私を見て質問してきた
沖矢「あなたも、もしやホームズ好きですか?」
椎奈「え? いえ、私は別に。好きとか嫌いとかじゃなくて、小さかった弟のために何度も読んでいて覚えていただけですから」
コナン「(とか言いながら、何気に姉さんも毎回楽しく読んでたんだよな…)」
椎奈「(仕方ないじゃない、面白かったんだもの)」
苦笑いでシャーロキアンじゃないと否定する裏で、再び小さくなっている弟と目だけで対話する
ごめん蘭ちゃん。新一がシャーロキアンになったのは、読み聞かせた私にも原因があるかもしれない…←
しかし、今はそれよりもこの謎の放火事件だ
構ってくれというように足にすりよってくるユキを撫でつつ再び日記に書かれたニックネームを思案していた時だった
現場からもう一人の刑事が走ってきた
部下「警部」
弓長「あ?また何か見つけたか?」
部下「はい。開人くんの部屋のあたりから、大量のミニカーが…」
椎奈「(!!ミニカー…!)」
ユキ「にゃ?」
刑事さんの報告にハッとなった私は、ユキを撫でる手を止めて思わずその会話がされる火事現場の方を見た。子供の部屋にミニカーがあっても不思議じゃない。けれど、その刑事は100台以上はあるという
椎奈「(そんなに持っているということは、相当車が好きなのね…。ん? 車が好き? )」
自分が抱いた感想に、ふと違和感を覚えた。するとそこへ、更に子供達の会話が聞こえる
歩美「…あれ?なんだろう、これ…」
元太「なんだなんだ?」
光彦「どうしました?」
歩美「ほら、ここ…。『えどがわ』って字を何度も消して書き直してるからちょっと黒くなってる…」
いつの間にか日記を借りたんだろう。歩美ちゃんが日記の気になった部分を元太くんたちに見せている
元太「漢字で書こうとしたんじゃねぇのか?」
光彦「いえ、下に薄っすら見えてるのはカタカナみたいですね…。『クロシ』…でしょうか?」
コナン・椎奈「(『クロシ』…?)」
部下「『クロシロくん』!」