第36章 〜赤白黄色と探偵団〜
コナンくんや弓長警部がアパートの住人たちにそれらのことを聞いているのを耳に入れつつ、私はそっとユキのそばに荷物を降ろして顎に手を当てた考えるポーズをした
椎奈「(…さて、この事件ってどうだったっけなぁ…。好きな色じゃないみたいだし…)」
小さく唸りながら頭の奥に眠っている記憶を呼び起こそうとするが、イマイチ思い出せるものがない
弓長警部の方も事情聴取を終えたらしく、そのあとはまた日記の最後のページを見ていた
弓長「う〜〜ん…。好きな色じゃないとすると一体なんだ?黄色い人ってのは…」
部下「あのー、警部」
彼が日記を凝視していると、後ろから彼の部下らしき男が小声で声をかけた
部下「このまま子供の日記を鵜呑みにするのは危険ではないでしょうか。架空の人物という可能性もーーー」
歩美「そんなことないもん!!」
元太「アイツ言ってたぞ! 夜中に怪しいことしてる奴がいるって!」
光彦「とても作り話をしているとは思えませんでした!!」
刑事の一人が彼の日記を否定することで、怒った子供達が必死に日記に書かれていることが本当のことだと訴えている
私も、そんな決め付けは良くないと思うし、なにより新一が大好きなホームズも言っていたーー
コナン「そう。それに…おじさんたち警察の人は悪いことをした子供がいたら、まずその子の周りの大人たちから話を聞いてどんな子だったか知ろうとするでしょ?」
椎奈「だったらその逆もありだと思いますよ。その開人くんという少年は子供だけど、ニックネームをつけるほど住人をよく観察しているようだしね」
沖矢「『ぶな屋敷』、ですか…」
コナン・椎奈「「…え?」」
不意に声がしたかと思うと、コナンくんと私の言葉を聞きつけてか、沖矢昴さんがこちらにやってきていた
沖矢「ぶな屋敷の事件の時に、ホームズがワトソン博士に言ったセリフだ。『ワトソン君、君は医者として子供の性質をつかむためにまず両親の方から調べてみるという事はいつもやっているだろう…。だったら、その逆も真なりとは思わないかい?』だったかな?」
コナン「へ〜。お兄さんもホームズ好きなんだ!」
沖矢「ああ。漏らさず全部持っていたよ。すっかり焼けてしまったけどね…」