第36章 〜赤白黄色と探偵団〜
子供たちは昨日、この木馬荘の住人の杉浦開人くんという1年生の男の子に探偵団への依頼を受けたらしい
その内容は、父親が大家をしているこのアパートの住人の3人のうち1人が夜な夜な怪しげな行動をしているらしく、それを突き止めて欲しいというものだったらしい
そして今日、昼に行くという約束でアパートに来て見てれば、全焼していたという
椎奈「なるほど…。まさか引っ越しで浮かれている間にこんなことになってるなんて。サイレンの音はしてたけど…」
歩美「そんな…っじゃあ、あの子は?開人くんはどうなったの?」
歩美ちゃんが不安気に誰にともなくそう言うと、そばの光彦が暗い表情で「もしかしたら火事で…」と最悪の可能性を口にする
歩美「そんな…」
?「いや、その開人って坊やなら無事だ。少々火傷を負ってるようだが消防隊員に助けられて病院で寝てるよ」
子供達の声が近くにいて聞こえたんだろう。どこからともなくやってきた刑事がそう声をかけてきた
すると、その朗報に途端に子供達は表情を明るくした
光彦「本当ですか?!」
歩美「よかった〜」
笑って喜ぶ子供達の姿に、見ていた私もそばにいる哀ちゃんと小さく微笑んでホッとしていると、コナンくんがその刑事を『弓長警部』と呼んだ
警部の方もコナンくんを知ってるようで、久しぶりだなと挨拶を交わしていた
コナン「それで、この火事で亡くなった人とかいる?」
弓長「幸い死人は出ちゃいねぇが、その開人くんの父親が大火傷を負って、今、集中治療室だ」
コナンくんが事件について聞くと、弓長警部はその目線にしゃがんで丁寧に説明してくれた
椎奈「じゃあ、その子の家族や他のアパートの住人はみんな脱出できたんですね…」
弓長「あ〜…失礼だがお嬢さん。そんな大荷物持ってここに何しに?」
椎奈「えっと、この大荷物は一度に持ってこれなかった引っ越しの荷物なんです。運んでるときにここで子供達と偶然会ったもので、そのまま…」
そう説明すると、弓長警部は納得したように頷いた
そのときに「しかし、お嬢さんどっかで見かけたことがあるような…」という呟きが聞こえ、私は苦笑いした
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