第36章 〜赤白黄色と探偵団〜
あれから本を買い終え、再び帰路につく
携帯のナビを使って途中からの進路を確かめていると、不意に嫌な臭いが鼻をかすめ足を止めた
椎奈「……うっ…焦げ臭いな…」
ユキ「にぃ」
その異変に気が付いた途端その臭いがきつく感じ、思わず眉間にしわを寄せて鼻をつまむ
そして、一体何でこんな臭いが、と私はその臭いの元に歩きだした
その後ろからユキも少し興奮状態で毛を逆立てながらついてくる
これが、姿を変えた『あの人』が登場する重要な事件だと気付いたのは、その臭いの原因に無事?たどり着いてからだったーーー
ーーー木馬荘
椎奈「(…ウソでしょ。少し離れてるけど近所なのに全然気付いてなかった)」
臭いの原因に辿り着いた瞬間、私はその光景に絶句した
臭いの原因は、なんと我が家の近くにあるアパートの火災だった
消火はすでに済まされており、目の前には無残にも黒く残ったアパートの残骸と、それを囲う塀と、カラスたち
そして少年探偵団
椎奈「(木馬荘ってここのことだったのね…)」
歩美「あ、椎奈お姉さんだ! 」
椎奈「やっほ。みんな、久しぶり」
元太「姉ちゃんここで何してんだ?」
椎奈「今日、ここから少し遠いとこに引っ越したから、忘れ物取りに行ってたの」
探偵団-コナン「「引っ越し?!」」
子供達が、信じられないとでも言うように驚いた
光彦「椎奈さん、あんなに広いお家を離れたんですか?!」
椎奈「うん。あそこまで広いと、一人暮らししてて寂しくなってね…。みんなはなんでここに?」
私がそう聞くと、途端に子供達の表情が暗くなる
やってしまったと心の中で悔いながら、私は彼らの視線までしゃがんだ
椎奈「…よかったら、お姉さんに説明してくれる?」