第35章 〜赤と黒のクラッシュ(殉職・謳歌)〜
すぐに答えを知れるチャンスを自ら棒に振った彼に、私は呆気にとられて思わず聞いてしまった
これでは赤井さんが生きていると言ってるも同然だ
すると、彼は可笑しそうに笑って私の頬をそっと撫でてきた
その心底優しい熱のこもった瞳に、思わず顔が熱くなってどきりとする
降谷「俺は、君が嫌がることをしたくない。もともと生死だけ確認する予定だったしな。赤井の肩を持っていると思うと少々イラつくが…。まぁそれが君の魅力で、君を恋愛的な意味で好きになった一番の理由なんだから、仕方ないと諦める他ないだろ?」
椎奈「…………へ??」
いま、なんだかサラリととんでもないことを言われた気がする……
すき……隙……空き……スキ……好き……
沈黙のなか、高速回転する脳が脳内変換でセリフに適切な漢字、「好き」を導き出した途端、ボフンっと頭がオーバーヒートを起こした
彼は嘘を言わないし、目が本気と語っていたからなおのこと
椎奈「なっ…ななな何言って…!!」
降谷「おっと…つい流れで…。まぁいいだろう。答えは『イエス』、または『はい』しか受け付けない」
椎奈「えっ何それ拒否権ないじゃない!!」
いや、実際好きですよ?! 好きですともこのやろー!!
でも成人して間もない私に、大人とのこんな駆け引きは厳しすぎる!!
顔が真っ赤になってるだろう私があたふたしていると、彼は上でクスクス笑って額同士を合わせてきた
降谷「…それで、返事は?」
椎奈「は………『はい』……んっ?!」
ためらいながらも、そっと小さく返事を返したその瞬間、彼の唇が私のに押し当てられた
それが突然で驚いていると、彼はすぐ短い啄むようなキスに変えて私に何度も降らした
そして彼がゆっくり離れると熱のこもった目と合ってしまう
椎奈「れ、零お兄さん…?」
降谷「もう俺はお兄さんなんて呼び方の存在じゃないだろ?」
椎奈「…っ零さん…」
そして今度は互いに吸い寄せられるようにして、キスを交わしたのだったーーー
降谷「ーーーたとえこの先何があっても、俺が絶対にお前を守ると誓うよ」