第35章 〜赤と黒のクラッシュ(殉職・謳歌)〜
もちろん、志保ちゃんを守る彼の役目を忘れてるわけじゃない
けれどいきなり近所に知らない人がいるというのは、彼女にとって警戒の対象以外の何者にもならないじゃないか
そうならないためにも、ゆっくり進めていくべきだ
椎奈「志保ちゃんのためになるなら仕方ない…。じゃあ、せめて私が引っ越した後になさい。彼の仮住まいのアパートならついでに用意したげる」
コナン「えっ! 引っ越すのかよ?!」
よほど驚きなのか、新一が机に手をついて体を前のめりにしてきた
椎奈「丁度いいじゃない。私この家に一人と一匹暮らしが寂しくなってきたの。家は沖矢さんに任せて、志保ちゃんの安全は保障されて、私はスキャンダルにならない。これでいいかんじじゃない?」
コナン「!ありがと、姉さん!」
よほど嬉しいのか新一が、ようやく準備が整うぞ、と喜んでいる
私もそれに小さく微笑み、お茶のおかわりをと席を立ち上がった時だった
誰かからLIN○が来た
携帯を取り出し、その文面を確認するとすぐに閉じた
椎奈「…ごめん、新一。ちょっと家にお客さん来ることになっちゃった…。仮住まいのことは私に任せて、今日のところは家に帰ってくれる?」
コナン「あ、ああ…」
なぜ出ていく必要が?と不思議に思いながらも帰ってはくれるらしい新一
玄関までユキと見送って手を振った後、さっき来たLIN○の相手に返事を送る
《大丈夫だよ、来てください》
相手の表示は、ゼロこと降谷零だったーーー