第34章 〜赤と黒のクラッシュ (キール奪還)〜
その後、なんとか風見さんに手伝ってもらって外に出た私は、彼が車に戻った後やってきたマネージャーに事情を説明
やはり呆れられ、仕事の前に一般人にばれぬようコッソリ診断を受けるべく、急遽病院に電話を入れ連れて行ってもらえることになった
……………のだが…………。
茜「どうしたのかしら…。一気に病院あたりが混み始めてるわね」
椎奈「え?!」
座るのが辛く後ろの席でユキと寝転んでいた私は、茜さんの言葉に驚いて体を起こし、前方を見たとたん唖然となった
十字路信号が青にも関わらず、前方の車は前に進めないまま停車状態。
そしてバックミラー越しには後ろにも長蛇の列が見えていた
更には、道路沿いの店から何やら体調の悪そうなお客さんがバタバタと出てきている……
椎奈「(嘘でしょ…。このタイミングで病院に駆け込もうとしてるってことは…!)」」
ーーーーそれはつまり、組織とFBIの激しい戦いの真っ只中ということ……
一般人の茜さんを連れて行くのは、正直躊躇われる
そして、組織の面倒ごとに巻き込まれたわけではない私が渋滞の列に並ぶのは違う気がした
そこで私は痛い体に鞭打って、車のドアを開けた
椎奈「茜さん、ごめんなさい。病院はもうそこだから、そこで働いてる友達呼んで助けてもらいながら歩いて行くよ」
茜「なっ?! ちょっと、椎奈…!!」
引き留めようとする茜さんの声を遮り、車のドアを閉める
その際、スルリと愛猫が急いで出てきた
椎奈「( 話そのものは変えないけど、せめて見届けたい…)」
そのまま私はガードレールに手をつきながら病院へと急いだのだったーーーー