第29章 〜初めての揉め事と自覚した想い〜
降谷「…本当に、組織を壊滅させるまで死んだりしないって約束できるか?」
椎奈「うん」
降谷「今まで以上に俺たちを頼り切ることは?」
椎奈「もちろん、約束する!」
覚悟の重みを見極めるようにまっすぐ私を見つめて問うてくる彼に、私もしっかり見返してはっきりと言ってみせた
すると彼は、はぁ…とため息を吐いて、私の肩に手を置くとぐっと引き寄せてきた
あっという間に、彼の整った顔が近づいて顔がボンっと熱くなった
椎奈「…っ?!」
降谷「じゃあ…もし嘘だったら許さないからな」
椎奈「…っ!!は、はいです!!」
綺麗な青の瞳に間近で見つめられ、うっかり顔を真っ赤にして変な返事を返してしまう
その瞬間、緊張していた空気が一気に和んだ
プッと吹き出した彼らは笑いをこらえ、零お兄さんは私の頭を撫でながら顔を背けて小さく笑っていた
椎奈「むっ…。零お兄さん…」
降谷「ああ、悪い悪いw可愛いものでつい…」
椎奈「か、かわ…っ!!」
謝ったのにさらなる爆弾を投下した彼に、私はもう羞恥心が沸点に達した
そんな私にまた吹き出した零お兄さんは優しい目で頭を撫でてくる
すると、なぜか研二お兄さんと陣平お兄さんと和人お兄さんが妨害を始めた
少しもめてるようで、どこか楽しそうな…零お兄さんの笑顔はとっても輝いている
椎奈「(…今までお兄さんたちに頭をいっぱい撫でられたけど、この人にされると何にせよ胸がキュッてなるな…)」
特別嬉しい感じと、胸に心地いい幸せいっぱいの締め付け
その正体を、気持ちをやっと自覚した気がする……
椎奈「(ーーー私、いつのまにか零お兄さんがこんなに好きだったんだ…)」
彼ーーー降谷零を見てると、つくづく思う
ーーーー彼の仲間を助けれて良かった、と
ーーーーまだ辛いことだらけだけど、少しでも笑える未来になって良かった、と
ーーーーそして、誰より私を支えてくれた彼を、好きになって良かった、と…………
そんなことを思っていた時だった……
?「椎奈ちゃ〜ん、帰ったわよ〜」