第29章 〜初めての揉め事と自覚した想い〜
ーーーー工藤邸
和人お兄さんに連れられて帰ると、たしかに言われた通り5人が一堂に会していた
しかも、家に入ってすぐの玄関に仁王立ちし、威圧的な雰囲気を纏って……
萩原「ああ。おかえり、椎奈ちゃん…」
声をかけられた瞬間、びくりと体が震えた
松田「お前に怪我がなくてよかったぜ…」
伊達「もしあったらその分も説教しないといけねぇしな」
降谷「まったく…不幸中の幸いですね、椎奈?」
椎奈「うん、今回は運がよかった…。心配ばかりかけて、本当にごめんなさい…」
ゴゴゴ…と効果音がつきそうなほど緊迫したような空気と、普段より低めの声
いつもながら心配させている自覚は十分あるので、ここは素直にしおらしく頭を下げて謝罪した
しかし、今回巻き込まれたのは本心ではない。それだけは分かってほしい…
椎奈「でもお兄さん…私だって今回は巻き込まれるつもりなかったんだよ?蘭ちゃんに近づいたのだって、本当はーーー」
降谷「どんな理由があっても、結果、君は巻き込まれた」
椎奈「……」
降谷「大方、『これくらいなら自分でもできる』と思ったんだろう?嫌な予感がしたならなぜ俺たちに全てを任せなかった? 失敗した時のことも考えて行動しろ! 挙句の果てには銃撃戦に飛び込むなんて…。誰でも彼でも自分の行動で助かるなんて思い上がりだ!!全員が死んでたらどうするつもりだ!!」
椎奈「…っ!!」
松田「言い過ぎだ、降谷!」
早口で捲し立てる零お兄さんを陣平お兄さんが抑えた
零お兄さんの言うことは最もで、一言一言が私に突き刺さってきた
『誰かを助けたい』という思いまで否定されて、怒りやら悲しいやらで涙まで出てきた
村田「今回の椎奈の行動は今までで一番軽率だったと俺たちも思うよ。特に銃撃戦に関しては、怪我がないのが奇跡だ。でも、俺たちはそんな彼女の行動で命を救われた過去がある…。結果から言えば今回だってうまくいっただろ?」
降谷「だがっ…」
萩原「今回は俺たちにも非がある。最悪を想定できなかったのは俺たちの責任だ。彼女だけ責めるのは間違ってると思うんだ」