第25章 〜会っちゃならん人たちが自宅で会ってしまった件〜
ーーーー村田side
トットットッと気だるそうに階段を上っていく椎奈を見送り、姿が見えなくなると息をついた
赤井「…悪いことをしたな、彼女は体調が悪かったのか?」
後ろ姿に元気がないのを悟ったのか、赤井が俺を見る
村田「まぁな。とりあえず、立ち話もなんだから『お前だけ』上がってくれ。FBIのお仲間もいるようだしな」
赤井がここに来た理由はすぐに分かった
情報の漏洩を防ぐためにも、安全な家の中がいいだろう
チラリと気配のする家の塀へ視線を向けると、こちらを覗き込んだ女性捜査官が目を見開いていた
赤井「ホォ…そこまで秘密にするほどの事があると?」
村田「それもあるが…。彼女は公安とFBIを関わらせたくないようなんでな」
さっき見た女性捜査官は、バスの中で見た女性と同一人物だった
もし知っているのなら、彼女はあのバスでさぞ心臓に悪い思いをしただろう…
赤井「なるほど。ならば、言う通り俺だけ入って話を聞こう」
?「ちょっと、シュウ?!」
赤井「こちらが条件を飲まぬかぎり、話は進まない。ここで待っていてくれジョディ」
ジョディ「…っ」
赤井を止めに入った女性捜査官ーーージョディだが、赤井に制されて仕方なくその場にとどまる
その間に赤井を家に招き入れ、リビングに来てもらった
村田「(日本にFBIが来たって知ったら、零は大暴れだな…)」
内心ため息をつきながら、なんでもない顔を装って赤井の前に座った
村田「…それで?お前が来たってことは、宮野明美を引き取る準備は整ったってことか?」
赤井「ああ。来た目的は他にもあるが…」
村田「ベルモットか」
赤井「!ああ」
疑問ではなく、断定。
他にも日本に潜伏する組織の一員がいる中、ベルモットに絞ってきたのに目を見開く赤井
赤井「…なぜ分かった?また工藤椎奈の予知夢か?」
村田「予知夢?そんなちっぽけなものじゃないさ」
赤井「ならどういうことだ?彼女はただの一般的な芸能人。なぜ一般人が組織について把握できる?」
村田「(…これは、色々調べたな)」