第24章 〜謎めいた乗客〜
ーーーー第三者side
その後、今度は誰か風邪薬を持っていないかと聞くと、ベルモットが化ける新出が名乗り出た
中居が一瞬複雑な顔をしたが、彼女が椎奈に手を出さない確率が高かったために警戒しながらも薬を受け取った
しかし、寝かすのは自分の仕事だと言わんばかりに中居が椎奈を一番後ろの席に移動させた
椎奈「怒ってる?お兄さん…」
彼女が申し訳なさそうに小声で聞くと、村田も声を潜めていった
中居「ああ。でも…君のおかげで伊達たちにメールで知らせれた。それで今回はチャラだな」
椎奈「察してくれたんだね…」
原作では、コナンがイヤリング型携帯で目暮警部に連絡していたところを見つかってしまう
ところが、公安に所属する村田には、敵の目を盗んで味方と連絡を取るなど簡単なことだった……
中居「そりゃあ、携帯が電話帳開いて置かれてたらな。それに君の無茶は直りそうにないし、むしろそれを踏まえて支えるほうが簡単そうだ。アイツがそう言ってた」
椎奈「アイツ…?」
中居「……」
「アイツ」について聞くと中居は口をつぐんだ
その時点で、言えない=潜入しているあの人と分かった
なるほどなぁ…と苦笑いで理解したことを示すと、同じく村田も苦笑いで返した
そして椎奈は後ろの席に寝かされ、薬を飲むと寝転んだ
村田が小さく笑って優しい手つきで頭を撫でると、次第に落ちていく瞼
中居「あとは任せてくれ」
椎奈「うん。ごめん、あんまり覚えて無いから力になれ無い…。でも、3人目の犯人がいるんだよ…」
村田「!そうか…。そこまで覚えていただけ良いさ。気にせず安め」
寝転んでから数分、体温が上昇したのと疲れたのもあってか、頷いてからあっという間に眠ってしまった
それを見届けた男の優しい目は、すでに冷徹で鋭いものに変わっていた
中居「(なんとかし無いとな…。現状はメールで送ったし、伊達たちに任せるしか無い。それまでは、俺たちでなんとかするしか無い…)」
乗客のうち数名から突き刺さる鋭い視線の一つ、コナンを村田はチラリと見た
中居「(君は、3人目の存在に気づくか?)」