第21章 〜事件を吸引する素質が移りました〜
松田「お前…、それで椎奈が死んだら、有紀子さんが悲しむことになってもいいってか?!」
伊達「松田!」
松田が掴みかからん勢いで林田に近づくのを、伊達が後ろで止めた
萩原「椎奈ちゃんも、あなたが犯人と知ればショックだろうね。現行犯逮捕だよ」
萩原も、目が怒りを表していたが平常心を保って林田に手錠をかけた
林田がパトカーに乗って連れていかれる様子を、コナンは黙って見ていた
ーーーーーーー翌日
病院で、椎奈はやっと眠りから覚めた
白い天井をしばらく見て、ようやく言ったことはありきたりなもの
椎奈「ここって…」
?「病院だよ」
椎奈「?!」
突然聞こえたありえない声に、驚いて声が聞こえた病室の入口を見た
椎奈「れ……安室さん?」
降谷「盗聴器の類は調べたから、本名でも大丈夫だ。今日の事件は村田から聞いた。なぜ、言わなかったんだ?!」
すでに怒ってるような声で、怒鳴られてしまった
自分の失態は実感していたため、顔を俯ける
椎奈「…ないと思ってた。自分は殺されない、手紙もただのいたずらだって。この世界を甘く見てた…。心配かけてごめん、零お兄さん」
降谷「!!まったく君は…っ」
ズカズカと近づく彼に、さらに怒鳴られるとビクつく体
衝撃に備えてギュッと目を瞑るとフワッと体が包まれた
椎奈「え?」
降谷「君は本当に昔から周りをヒヤヒヤさせる…っ。もう怪我なんてしないでくれ」
降谷が大事そうに椎奈を抱きしめ、耳のそばで優しい声音で言った
椎奈「うん。でも私、組織のことで無理するから…約束できない…。もちろんお兄さんのこと頼るけど」
降谷「止めろと言っても無駄なんだろうな。…頭の怪我は痛くないか?腕は?」
椎奈「大丈夫、まだ麻酔が効いてる。ありがとうね零お兄さん。忙しいのに来てくれて…」
降谷「!!」
ほんとにありがとう、と言って降谷の背に手を回した
それに震えた降谷だが、抱きしめる腕が強くなった
それに嬉しそうに笑った椎奈は、ドキドキするものの幸せでフワフワした気分だった