第21章 〜事件を吸引する素質が移りました〜
それから数分後、リハーサル開始となった
毛利一行と園子と子供達と博士、そして刑事組たちは観客席に座っていた
ステージのサイドに控えるスタッフたちに紛れて、椎奈がマネージャーとスタンバイしていた
だが、その雰囲気はどこか暗い……
茜「…椎奈、あなた本気なの? 招待した人たちは、何も知らないんでしょう?」
椎奈「確証もないのに大事にはできないよ。それに、さすがにこんなとこでやんないでしょ。心配しすぎ…」
小さく苦笑いしてそう言うと彼女はステージへと歩いて行く
そして、最後にマネージャーに振り返って綺麗に笑った
椎奈「それにね?『闇の男爵夫人【ナイトバロニス】』の娘たる者、用意された舞踏会はいかなるものでも舞ってみせる」
何かを覚悟するような椎奈の目に、マネージャーは黙るしかなかった
再び背を向けた椎奈の背中を見る黒い影は、鋭い目を怪しく輝かせた
ーーーーーーーーー1時間後
〜〜♪♪〜〜♯♪♪♪〜
椎奈『ーーーーーー!!』
ラストの曲の、最後となる歌詞を感情を込めて歌う椎奈
会場は椎奈の歌声とロックな音楽しか聞こえない
観客席でそれを聴く椎奈の友人知人の面々は呆然とそれに魅入っていた
〜〜〜♪♪♪〜〜♪♪〜………
最後に締めのメロディーが流れ、余韻もほどほどに静まり返る会場
ハッとなった小五郎が大きく拍手しながら立ち上がった
小五郎「ブラボー!!ブラボーだぞお!!」
蘭「すごい…お姉さん…」
園子「歌う人違うだけでこんなになるんだ…」
博士「新一と違って歌が上手いの〜…」
騒ぐ小五郎の隣でJK組と博士がポツリと漏らす
歩美「どうしよ…歩美、鳥肌たっちゃった…」
光彦「ぼ、ボクもです…」
元太「今のオレ、うな重どうでもいい…」←
コナン「すげー…(さすが姉さん…)」
子供4人が顔を見合わせて呟いた
そんな彼らに気づいた椎奈が笑って手を振り、刑事組がそれを微笑ましく見る
そのまま癖で懐のタバコを取ろうとする松田と萩原の腕を、隣にいる村田と伊達がさりげなく止めた
なおも笑いかける椎奈
そのときーーーーー