第20章 〜両親が帰ってきました〜
優作「…一つ、聞いても構わないかい?」
村田「はい」
優作「君は変装して娘と今でも交流があるようだが、それは公安の義務でもあるのかな?」
村田「はい。これはお嬢さんにも深く聞かれなかったので話しませんでしたが…。助けられた身でなんですが、彼女は自分の危険を顧みない節があります。当初は様子を見て組織が近づくそぶりがなければ一応警護を緩める予定でした」.
優作「当初は、か。ということは、新一の件で、その予定が変わったということか…」
村田「はい。それと、彼女自身は知らないようですが、アメリカに滞在した際に実は組織の人間と接触してしまったようで…。それも含めてまだ油断はできないと上が判断した次第です」
優作「なるほど…」
有希子「でも、刑事さんが守ってくれるなら大丈夫よね!」
椎奈・村田「「…え?」」
てっきりものすごいお叱りなどが私たちに浴びせられると思っていたが、母の明るい声に間抜けな声が出る
有希子「だって、椎奈ちゃんが身を任せてるんだもの。信頼するにたる人物ってことじゃない!ね、優ちゃん?」
優作「うむ。有希子の言う通りかもしれないな。…では、村田くん。椎奈のことは君や刑事の方々に任せることにするよ」
村田「ありがとうございます。責任を持って俺たちが守らせてもらいます」
椎奈「良かった…」
和人お兄さんがようやく顔を上げて笑った
私は、双方が揉めなかったことにホッと安堵の息をこぼした
しかし、問題はまだ残っていた
優作「…だが、新一に関してはまだ本人の意思を聞いていないので判断しかねる。悪いが、この返事ははっきりできない。…ちなみに、愚息のことは公安は把握しているのかね?」
村田「いえ…。公安がどうこうするよりもはやくご子息が行動なさって…。なので、幼児化を知るのは俺と椎奈さん、そして刑事数人だけです」
有希子「その刑事数人っていうのは…」
村田「昔、お嬢さんを届けに来た同期3人です。現在は警視庁に配属されて、その日も偶然事件があったようで出会ったんです」