第20章 〜両親が帰ってきました〜
村田「残念ながら、潜入して数年たってもまだ彼らの情報は集めきれていません。ですが、息子さんを縮めた薬・APTX4869を作ったのが彼らなのは確実です。現在、彼らは息子さんの死を疑っている」
有希子「そんな…」
村田「おそらくお二方は、海外で隠れ住むことを提案したいのでしょうが…。相手は国際的な犯罪組織。生きているのがバレればすぐに見つかります。俺たち公安としてはおすすめできません。そして、それはお嬢さんにも言えること」
優作「…どういうことだね。村田くん」
有希子「まさか、椎奈も組織と関わりが?!」
両親の視線が一気に私に集まり、私は重々しく頷いた
その件について話そうとすれば、その前に和人お兄さんに制された
村田「その件に関しましても、俺が全てお話しします。なぜ変装しているかについても…」
優作「うむ。お願いしよう…」
父の同意を得ると、彼は頷いて自殺しかけたあの日を語り始めた…
彼が組織への潜入者ーーーNOCだとバレたこと
それを仲間から聞き、任務で組むことの多い幹部から拳銃を奪い、自殺を図ったこと…
そこへ私がやってきて、和人お兄さんの自殺を止めたこと。
後から駆けつけた仲間も含め、その場にいる組織の人間2人がNOCと知り、《スコッチ》を死亡したことにしたこと
それにより、彼らを壊滅させるまで和人お兄さんが名も姿も変えることになり、私の変装術を伝授したことーーーーー
和人お兄さんは、私が再会で起こした組織との間接的な接触について何一つ漏らさず話してくれた
村田「何がどうであれ、俺を助けたがためにお嬢さんが巻き込まれたことを心からお詫びします!申し訳ありませんでした!!」
椎奈「…っ」
最後に、彼は机に手をついて深く頭を下げた
お兄さんだけのせいじゃない。
だけど、彼がつけようとする『けじめ』に口を挟むことはできなかった
お父さんとお母さんが顔を合わせてアイコンタクトを取ると、お父さんが代表で和人お兄さんに口を開く