生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第11章 医者志望の医療行為(*)
2人の見事なツッコミが重なったところで
何とか屋上での一件が締めくくられた…ように思えたが
「さぁ、教室戻らなきゃ…お昼食べ損ねちゃったなぁ」
「げ、そーいや俺も食ってねェ」
「ここにお昼持って来てなかったの?」
「お前がいつ来るか分からなかったしなァ」
「そっかぁ…ぶふっ!」
呑気にお昼の話なんかしているセナにローが着ていた上着を投げつける
親友同士(ローは決して認めてない)の2人はすっかり仲良しな様子である
「ちょっ、何するの!」
「自分の格好をよく見てみろ」
「へ?」
自分の姿を見下ろすと、ボタンがところどころぶら下がって見るも無惨なブラウスから覗くお気に入りの下着
スカートは砂埃で至る所が汚れて、少しシワになっている
「どうりで寒いと…!」
「そこかよ!」
「これはキッドのせいでしょ!もー、制服まだ新しいのに…」
「だからテメェら…俺を無視すんじゃねェ。セナは授業に戻るのは諦めろ」
そんな格好で戻るなど言語道断。図らずも男子生徒どもの注目を集めようものなら、クラスごと消しかねない
「コレ着ててもダメかなぁ」
「ダメだ」
「そうだよねローが困るもんね」
「…そうじゃなく、もういい」
大きすぎる上着の袖を揺らしながら、小首を傾げる姿がなんともあざとい。本人は至って無意識だけど
しかし何度このような的外れな返答を聞くことか
どうやら男に対する危機感というものが根本的に備わってないらしい
いつの間にセナの隣に並ぶキッドは横目に胸元を凝視している、そんな分かりやすいことにも気付かないとは重症である
『ほんとにコイツは』
例えば不特定多数の視線を浴びたとしても、その視線が自分に向けられているとは到底考えないだろう
きっと、目の前に迫られても気付かないかもしれない
ならばやはり、自分が守ってやらねば
今回のような事態は、二度とごめんだ
「生徒会室に居ろ。荷物はシャチに持って来るように伝えておく」
「むぅ」
「ちなみに俺の能力で家に送り返してやることも出来るが」
「…生徒会室に居ます」
半ば脅すようにいえば、不貞腐れたように唇を尖らせて渋々頷く
「ユースタス屋は明日までにコイツの新しい制服用意しろよ」
「なんでテメェに命令されなきゃなんねェんだ!…言われなくてもするに決まってんだろ」
キッドはバツが悪そうに呟いた