生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第10章 ないものねだり(微*)
短くなってしまったHRが終わり、授業に入る前の休憩時間
「はぁぁ…」
「ん?どうした、溜め息なんか吐いて」
背後から聞こえた深すぎる溜め息に、シャチは思わず振り返るとセナが机に伏せていた
「この三日間だけで、三年は過ぎた気分…」
「おまっ、それは言い過ぎじゃねぇの?」
「シャチも私の立場に立てばいいのに、代わってあげようか?」
「や、遠慮しとく」
というかそもそも代われないだろ
しかし思い返すと入学初日から生徒会に引き込まれ、ローに告白され、翌日は家で色々あった上に登場の仕方がお姫様抱っこ
それが原因でシャチやペンギンとも諍いになり、挙げ句の果てに同級生からいじめられ
そして今日はキッドの登場だ
「私の平穏な日々はどこ…」
「そんな嘆くなって」
「うう…」
目の前の幼馴染が見るからに疲弊しているのがわかる
その姿があまりにも不憫に思えて、そっと頭を撫でてやればのそりと顔を上げて驚いたように口を開く
「シャチが優しい…」
「はっ?!お前の中の俺ってなんなの?!」
「バカな子ども?」
「悪口かよ!」
「あははは、冗談だって」
昔から変わらないようなやり取りをしていれば、ようやく笑顔が戻ってきたようだ
いつもの調子に戻ったセナの様子に、シャチは内心ホッとする
授業開始の本鈴が鳴って、静まり返る教室内
とはいっても1年生はどの教科もまずは自己紹介や、中学の復習から始まるので今のところは比較的賑やかで楽な時間となる
1限から始まり、2限、3限と…のんびり平穏な時間が過ぎてゆく
そして 次の4限は体育だ
女子は更衣室に集まり着替える
「ナミ、これ昨日の体操着」
「ああ、昨日濡れちゃったから貸したやつね。別に乾かすだけで良かったのに」
「ちょっ、そんな大声で言わないで…!」
近くで着替えていた見覚えのある4人に聞こえるくらいの声量で、わざとらしくナミが話す
4人一斉に一瞬だけ動きが止まった
「あのねぇ、普通あんな事されたら怒るモンじゃないの?なんで怒らないのよ」
「怒るもなにも…私も悪いからね?」
「セナが悪い要素が見当たらないんだけど」
バサリとブラウスを脱いで、体操着のシャツに袖を通しながらナミは呆れ気味に呟く
堂々と下着姿を晒したナミに、セナは同性ながら釘付けになって心の声が漏れた
「…いいなぁ」