生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第8章 楽しい学校生活のススメ
確か帰りのHR前に、スモーカーと会ったとき
彼は自分を認識していなかったはずではなかったか
不思議そうに首を傾げていると
「あれだけ派手に登場すりゃ、名前と顔くらい覚える」
「でも名前呼んで、どいつだって」
「…あいにく手元にあったのは名前だけだからな、お前かどうかは分かんねェだろ」
「そう、ですか…」
上手く丸め込まれた気がするが、これ以上は追及のしようもないのでこの話題は打ち切ってしまおう
そんな事を考えて俯きがちになると、ポンポンと頭を撫でられる。ローかと思ったけど、両腕は身体に巻き付いたままだった
そこで顔を上げれば、仏頂面のスモーカーが自分に手を伸ばしている
「その、なんだ…可愛い生徒には違いねェ。好きって事にしといてやる」
「…!私もスモーカー先生のこと好きです」
俯きがちになったのが、しょげているとでも思われたようだ
そういえば入ってきたときに、コラソンも好きだと言っていたのできっと先ほどまでの会話を聞いていたのだろう
「セナに触るな、白猟屋。いい加減手を退けろ」
「教師にまで嫉妬とは、小せェ男だなトラファルガー」
「なんだと…」
「オイセナ、彼氏にイジメられたらいつでも言ってこい」
「ふざけんな!あとコイツは俺のモンだ、気安く呼ぶんじゃねェ」
「もう2人ともやめてよ!」
頭上で延々と繰り広げられる、大人気ない会話は止みそうになく。大声で2人を制す
スモーカーは無表情で口を閉ざしたが、ローは怒りが収まらないのかまだ今にも食って掛かりそうだ
「このままだと先生も帰れないし…皆で帰ろう?」
「…ハァ」
「な、なに?」
「なんでもねェ」
ローの本音は2人きりで帰りたかったのだが…
視界の端でセナが毛布を脱ぐと、寒そうな体操着姿
思わず上着を脱いで、頭から被せた
「なに?!」
「そのままじゃ寒ィだろ、着とけ」
「それじゃローが」
「抱いて帰るか」
「有り難く着させていただきます」
「チッ」
素直に受け取ったのに、なぜ舌打ちされたのか…
いつもローの沸点はイマイチ分からない
外に出ると夜空には星が輝く
今日だけで色々な事があった…良いことも悪いことも
「「じゃあ、また明日!」」
当たり前に未来の約束を交わす
この無数の星たちのように、みんな一緒にいつまでも笑い合えたらいい
学校生活は始まったばかり…―