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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第2章 高校デビュー?


別に中学時代に不満があったわけではない
ただ、満足だったかといえば…それはNOといえるだろう

だから私は決意した

『高校デビューする!』



知らない人の中で初めての環境に渦巻かれて、本当の私を曝け出してみたかった
内向的では決してないのだけれど、私は自分を表現するのがとても苦手だ
人付き合いに柔軟だと言われるが、一方で八方美人と囁かれていたのも知っている
良くいえば相手に合わせるのが得意、悪くいえば自分の意見がない…なーんて、

私が1番分かってるっての!!!


特にこだわりもなく伸ばしていた髪をバッサリと切った
興味があったけど手が出せなかった化粧も校則に引っかからないであろう程度にしてみた
薄化粧だけで、こんなにも印象って変わるんだな…鏡に映る私は複雑な表情を浮かべる

『女って怖いわ』


自分も含め、ね

「ヤバッ、こんな時間!」


のんびり鏡を見つめている場合じゃなかった
今日は入学式、高校デビューの大事な幕開けだ

「いってきます!」
挨拶もそこそこに、急いでバス停に向かう







「やっちゃった…」
初日からやらかした…入学式に、間に合わない!!!

「なんで校舎までこんなに長いのよっ!」
正門から続く桜並木のトンネルを精一杯走ってみているけど、中々目的の高等学部校舎が見えてこない
こんなことなら慣れない化粧なんてしてくるんじゃなかった…
高校生活1日目から、私は笑い者になるのだろうか
まだ見ぬ学友に嘲笑われる自分の姿しか浮かばない

思わず足を止めて、天を仰いだ
涙が溢れそうだったから
潤んだ視界に飛び込んできたのは鮮やかな薄ピンクの天井と、桜吹雪
まるで私を慰めてくれているような気がした

『大丈夫』

大きく深呼吸を一つ
深く吸い込んだ息を、ゆっくりと吐き出そうとしたとき

「何してんだ」
「!!」

声がした。振り返って辺りを見回すと一本の桜の木の根本に人の姿があった
変わった柄の帽子を目深に被った男の人のようだ、よく見るとここの制服を着ているようで

「…新入生か。こんなところで何してんだ、入学式ならとっくに始まってるが?」
「あ、はは…ちょっと……遅刻しちゃいまして」

なんでバカ正直に話してるんだろ
これじゃあ自ら恥を晒しにいったようなもんじゃない

消えかけていた不安が、再び頭をもたげ始め涙を堪える
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