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生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)

第21章 教えてセンセイ(*)



そんな疑問を頭に浮かべながらローに向けた顔は、きっとひどい顔をしているだろう。ほんの少し可愛げのない自分自身に後悔が生まれる

視線が目の前の彼を真っ直ぐと捉えた、そうして口を開けばスルリと出てきたのは

「…なんで?」

短い疑問の言葉、今浮かべているのは間抜けな表情に違いない

本当は勢いのままぶつけようとしていたのはひどい言葉だったはずで、浮かべていた表情は不細工だろうと後悔したのに

鋭利な言葉は喉元を過ぎることなく、胸を巣食った後悔はなりを潜め、ついでに摘まれたままだった鈍い頰の痛みさえも

全てが一瞬で消え去ってしまった

「どうした」

問いかけてくる声が、心地よく鼓膜に響いて広がる
伺い見下ろす視線は、優しくセナを見つめていた

頰を抓られたことが、まるでその痛みで咎められているように
ローはきっと凄く怒っているのだと勝手に思い込んで

それは本当に勝手な話だったと恥ずかしくなる
そうでもしないとセナは決して顔を上げようとはしなかっただろう

ローはそれを分かっていたから、あのような行動に出たのだ

『悪いのは、私の方』

理不尽に怒っていたのは、ローではない
彼はいつだって、セナを最優先に行動してくれる。そのことを、誰より感じているのは自分のはずなのに

「泣くな」
「ッ」
「…まだ終わってねェだろ」

ローの長い指が、そっと頰を撫で下ろす
その指先が、トンと開かれたままの教科書に着地した

「あとは、家でやる」
「ダメだ」
「ローに教えてもらって、ちゃんと分かったよ?だから、」

トン、トンと紙束に吸い込まれる微かな音を消すように、指先を重ねて包み込む
するとこちらを向いていた顔が、フイと背けられ…静かな空間でなければ聞き逃してしまいそうな声が紡がれた

「我慢してやってんだ、早くしろ」

背けられて顔は見えなくても、覗く耳が真っ赤になっている
夕陽も沈み、煌々と人工的な明かりに照らされる室内で…それははっきりとローの感情まで汲み取れた

重ねた指先から、彼の熱が移ってしまったのかセナも顔を真っ赤に染め上げる

ただ何も言わずに、転がっていたシャープペンを手にすると残りの問題を解き始めた

焦りに騒ついた思考はどことなく纏まらないのに、何度も丁寧にローが教えてくれたお陰か指先は答えを導くように滑らかに動く
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