生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第18章 忍び寄る陰謀
この学院に来た本当の理由、これから先に待つ運命
そもそもの運命の始まりであるローとの出会い、そして今回の別れ…
それは囁くように、力無く語られる
「私に未来はないけれど、ローの未来はまだまだこれからです」
「…」
「私はもう彼を幸せにできない。悲しませるだけだから、私のことなんて早く忘れて、これからはスミレさんと幸せになって欲しい」
きっと、ローの隣に似合うのは誰が見ても自分よりスミレだろう
これ以上悲しませるだけ、苦しめるだけの存在ならそんな自分を忘れて、他の人と前に進んでもらいたい
「私は彼に愛された記憶があれば充分です」
これ以上自分たちの思い出や記憶が更新されることはない。そしてローの未来はこれからも進んでゆく
今まで愛し合った記憶は、立ち止まるセナの胸の中でだけ生き続ければ
だから例えこれから理性や心が壊れても、愛された日々を思い返し、一方的に彼を想い続けることだけは許してほしい
「…それを、望んでいるんですか」
「はい」
「トラファルガー・ローも?」
たしぎが、正面から視線を外しセナを振り向いた
その表情は怒っているかと思ったのに、レンズ越しの瞳には涙が浮かべられている
「私が、勝手なだけなんです」
「セナさん、私は」
「だからこれ以上、私はローに愛される資格がないんです」
机の上で強く握り込まれた手に、手を添えてセナは眉を下げた
そして緩く首を左右に振ると、笑みを浮かべる
するとその手に、もう片方のたしぎの手が重ねられた
涙の溜まったままの瞳がセナの笑みを歪めて映す
「セナさん、私は…あなたの本音が聞きたい」
「ッ、本音…ですよ?」
瞬間に引かれようとした手を、逃すまいとたしぎは手のひらに力を込めてそれを制止した
「なら何故、あなたはずっと苦しそうなんですか。勝手だと言うのなら、 どうしてそんなに泣きそうな顔をするんですか?」
「そんなこと、っ」
「聞かせてください、セナさんの本音を」
「私の、本音は…」
これからの運命が怖くてたまらない、今すぐでも逃げたくて
みんなに会えなくなるのは嫌で、1人になるのは…耐えられない
ローの瞳に自分以外が映るのは悲しい、本当は…ずっと離さないで隣に居たいの
「助けて欲しい…ローに、会いたい…!」
ドォオオンッ