生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第4章 ここへおいでよ
「なんなんだ、あの人…」
教室に向かう廊下を歩きながら、不穏なオーラを纏ったセナは唸るように呟く
少し熱を持って赤くなった左手は、生まれて初めて人を引っ叩いたから…じーんと痺れるような痛みに思わず眉を顰めた
桜並木の下で泣くことを受け入れてくれたのは、凄く嬉しかった
連れて行かれた会場で、いきなり生徒会に任命されるというのにはビックリしたけど…今思えば選択肢の一つとしてはあり得ると思えた。それが最善か否は置いといて
俺の女、と宣言された。全校生徒の前で…そこに私の意思は関係ないという
そして、私が自分に惚れると自信満々で言い放った
肩にもたれ掛かってきた副会長を見て、怒りの矛先は私に向けられる
冗談じゃない、不可抗力以外のなにものでもないことは一目瞭然
それなのに私を軽薄な女のように言う口が、貪るように重なってきて…離れればまた俺の女だと自信満々に言われた
自信満々に言い切るくせに、私を疑う根拠はなに?怒られる理由は…本当に私のせいなの?
目の前のトラファルガー・ローという傲慢な生徒会長が心底分からなくなっていた
「おめェら…いつまでそうしてるつもりだァ?」
声のした方を振り返れば、入ってきたときに声を掛けられた白髪の先生が腕を組んで此方を睨んでいた
いつの間に入学式は終わっていたようで、通り過ぎる生徒たちは皆こちらを好奇の目で見守っていた
恥ずかしさにみるみる顔が赤くなるのが分かると、グイッと顎を掴まれ再び元の方向に向かされる
「余所見するんじゃねェ…」と目の前には不機嫌そうな顔が近づいてきたものだから
パシンッ
また疑われたらしいと湧いて出た少しの怒りとあまりの恥ずかしさに思い切り頰を引っ叩いてしまった
「…」
「っ、すみません!」
未だ肩に乗っていた重みも振り払い逃げるようにその場を去って…今に至る
「セナ!」
「あ、ペンギン…」
「お前どうしたんだよ」
「ッ分からない」
「てか、いつの間に生徒会に入ってたんだ」
「勝手に、入れられたの…生徒会長に」
「会長に?話が読めん…」
今日あったことを正直に話した。ペンギンはシャチと違って私をからかったりしないから
朝から今まで起こった滅茶苦茶な出来事を、どこまで信じてもらえるか分からないけど
「はぁ…なんか、うん」
「嘘みたいでしょ」
「でも嘘じゃないんだろ?分かってるって」