生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第13章 自由を求める男
「なんつー歩き方してんだァ?セナ」
いつもと変わらず、ローと並んで登校をしたセナに声を掛けたのは
学園の正門前に立って風紀委員長としての役目を果たしていたキッドだった
遠目に見れば、ローの腕に抱きついているのかと思っていたが
近付いてきた姿をまじまじと見て、どこか違和感を覚えたのだ
「おはよ、キッド」
「はよ。どーしたんだ、派手にコケでもしたのか」
歩いてくる脚はどこか力なく、ローの腕を支えにしているのが見てとれる
此方を見ようと顔を上げた拍子に、どこか痛むのか一瞬表情が歪んだ気がした
見た目に大きな怪我やアザがあるようには見えないのだが
「失礼ね…誰もコケてないし」
「じゃあなんでそんな辛そうにしてやがる」
「別に、いつも通りですー」
これ以上言及されまいと、気まずそうに視線を逸らせば
余計に気になるのか肩を掴まれて振り向かされると、顎を掴まれて至近距離で視線を合わせられる
「顔色も悪ィな」
「もう、キッドには関係ないから…!」
「あ?関係ねェだと?親友の心配するのは当たり前だろーが」
「う…そうだけ、ど」
鋭い目を細めて射るように見つめられながら、そんな風に言われてしまうと返す言葉もなかった
まさか一昨日、しかも一晩中ローと行為に及んだために全身が痛むなんて…色々恥ずかしすぎて言えるはずもない
「ユースタス屋。俺の目の前でセナに手を出すとはいい度胸だな」
「別に手ェ出しちゃァいねェよ。俺は親友の、心配してんだからな」
「俺は貴様を親友とは認めてない」
「テメェの親友じゃねェんだ。ほっとけ」
どう言い訳をしようか考えあぐねている間に、頭上ではいつの間にか火花が散っている
この2人は目を離すといつもこうなのだと、生徒会顧問であるコラソンや、担任で生徒指導のスモーカーから聞いた
そんな犬猿の仲を具現化したような2人だが、キッドがふとローに呼び掛ける
「ああそういや、トラファルガー」
「あ?」
「久々にお目見えするらしいぜェ?…例の男がよォ」
「…なぜ知ってる」
「さっきセンコー共が話してるのが聞こえたんだよ。誰かが、能力を使ったことまではバレてるみてェだぜ」
「で、それを俺に教えて…何が望みだ」
キッドがローの肩を掴んで引き寄せ、小声で何かを話しかけると
暫しお互いに小声のままやり取りを繰り返している
「?」