生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第12章 ちょっと一息つきましょう(*)
「ずるい」
「は?」
「ローだけ、いつも余裕なんだもん」
出会ってから何度もローの言動に翻弄されるばかりのセナは、不満そうに頰を膨らませる
本人は至って本気で不服を訴えているのだろうが、仕草はあまりに幼く見えて思わず笑いを漏らす
「ックク…」
「なんで笑うかな!?」
「はぁ、面白れェ」
「私全然面白くないってば!」
笑い過ぎてうっすら涙まで浮かべたローに抗議の意を込めて睨みつける
ようやく笑いの波がおさまったころに、ローが口を開いた
「大体俺も余裕があるわけじゃねェ」
「うっそ!」
「余裕に見せてんだよ。…じゃねェとカッコつかねェだろうが」
「余裕に見せすぎ…」
「心外だな」
これでも今まで通りの余裕っぽさは微塵もなくなっていると自覚しているほど、セナのこととなれば取り乱している
一挙一動に胸が騒めきだせば、様々な感情が入り乱れてきて…結果、余裕も冷静さもあったものではない
「そんな風には見えないけど」
「それはお前の勝手な思い込みだろ」
「む…そうだけど。でもやっぱり私の方が好きばっかりな気がする」
「ほう…」
何気ないつもりだろうが、セナの素直な言葉に口元が緩むのが分かる
言われようは複雑だが
「お前の気持ちの方が俺に勝ってると?じゃあ、証明してもらおうか」
身体を密着させるように腰を引き、耳元で囁いた
「今夜、ベッドの上でな」
「えっ、そッ」
セナはぼんっと真っ赤になってわたわたと取り乱す
ピロンッ♪
そんな2人を一旦落ち着かせるように、軽快な着信音が聞こえてローは携帯を取り出した
「…荷物の用意ができたそうだ」
「もう?早いね」
「近くに居るらしい、取りに行ってくる」
「いってらっしゃい」
ここは玄関先で、家を出る相手に声を掛けるのは当たり前のこと
しかし今は2人きりで、抱き合う体勢なのが非常に離れ難い
「?行かないの?」
「…すぐ戻る」
「待ってるね」
「ああ」
そのままの状態で動く気配のないローを見上げれば、なんとも難しい顔をしていた
「…泣くなよ」
「泣かないよ?」
「やっぱり泣け」
「どっちなの?!」
たかだか数分離れるだけなのだが
寂しがってほしいような…そうでないような
ローは初めて感じる複雑な心境に頭を悩ませる
「ラミちゃん待ってるんでしょ?早く行ってあげなきゃ」