生徒会室は寵愛の鳥籠(ONE PIECE長編学園パロ)
第12章 ちょっと一息つきましょう(*)
小気味よいチャイムの音が、家全体に響き渡った
それはもちろん来客を告げる合図なので、今この家に誰かが訪れてきたことになる
「誰だろう」
「放っておけ」
「そういうわけには…ちょっと見てくる「離れないんじゃねェのか」
そういう意味で言ったのではないことを、分かっているはずなのにローはふて腐れたように言いながら腕に力を込めた
「すぐ戻ってくるから、ね?」
「離れんな」
「もー…わがまま言わないで」
ピンポーン
ピンポンピンポンピンポーン
来客は痺れを切らしたように、何度もチャイムを鳴らし続ける
もしかしたら、誰か何か急用かもしれない
「じゃあ一緒に出る?」
「…チッ、めんど臭ェ」
面倒なら、離してくれて来なければいいのに…と思ってしまうが口に出すと喧嘩になりそうなのでそっと心の中にしまっておく
腕から解放されると、セナからローの手を取る
階段を下りて、そっと玄関のドアを開けた
「あっ、なんだ居るんじゃない」
「ナミ?!それにビビちゃん、カヤちゃんも」
「トラファルガーさんも居たんですね!」
「よかった、思いのほか元気そうで」
扉の向こうに居たのは、数時間前に別れた友人たちだった
どうやら様子を心配して、見に来てくれたらしい
「ごめんね、心配かけて」
「いいのよ、ぜーんぶトラ男が悪いんだから」
「なぜそうなる」
「私が勝手に勘違いしたからいけないんだよ…!」
「だってこんな可愛い妹さんが居るなんて思わないじゃない?ねぇ、ラミちゃん!」
「え?」
カヤが誰もいない空間に声を掛けたと思えば、物陰からひょっこりと顔を出したのは先ほどローの腕に抱き着いていた女の子
「ホント全然トラファルガーさんと似てませんよね」
クスクスと笑いながらローとラミを見比べて笑いを堪えるビビ
その隣でナミもうんうんと頷きながら、笑いを隠そうとしている
「あのっ、さっきはすみませんでした!」
ラミが泣きそうな顔で、セナに向かって頭を下げた
「顔を上げてっ、えっと…」
「ラミです」
「あ、ラミちゃん。さっき勘違いしちゃったのは私だからあなたは謝らないで?」
自分よりも少しだけ背の低いラミの頭を、あやすように撫でるとラミはおずおずと顔を上げる
「ふぇっ…お姉様ぁ」
「ええっ、それはちょっと…私、セナっていうの。ぜひ名前で呼んでほしいな」