第21章 ヒューマンオークション会場
『ロー……』
「………今のうちだ。」
ローはルフィを見て妖しげな笑みを浮かべた後、ハチの元へ行き傷口に手を当てた。
「ニュ~……何だお前ら……」
『敵じゃないよ。ちょっと痛いかもしれないけど、我慢してね。』
「ROOM 」
傷口を囲うくらいの小さなサークルを拡げ
”オペ”が始まった。
「ウッ!!」
すると、ハチに撃ち込まれた銃弾がローの手の中に現れる。
これだけでもしておけば、後々チョッパーも手当てがしやすいだろう。
『ロー、ありがとう。』
「今夜が楽しみだな」
『え?』
ローはカナエの耳元で囁いた。先程のような、妖しげな笑みを浮かべている。
「俺の事をよく知ってるんだろう?」
え~~!!それで私、煽っちゃった!?
『だから助けてくれたの……』
「利害の一致だろ。」
『なにそれ……』
「どうしたら俺を満足させられるか……しっかり考えておけ。」
何でそうなる!!
そこへナミが駆け寄ってきた。
「ハチ!………あんた達ハチに何してるのよ!」
(うぉぉ~~近くで見てもカワイイ~~!!)
「銃弾を取り出した。」
「えっ……」
「こいつがやれと言うから仕方無くだ。恩を売るつもりは無い。」
『後は、チョッ………船医さんに宜しく伝えておいてください。ロー、行こ。』
カナエはローの腕を引いて、元いた席に戻ろうとした。
しかしナミは二人を引き留めた。
「待って!あなたさっき、ハチの為に凄く怒っていたでしょ?ハチの事を知ってるの?」
「………」
ローも答えを待っているようだった。
どうしたら良いんだ。
『えーっと……』
「ニュ~……俺はこいつら知らねェぞ……」
「だったらどうして………」
ドン!!ドン!!ドン!!
再び銃声が鳴り響いた。
殴られた天竜人の父親がルフィに発砲している。
すると、一瞬のうちにサンジがその銃を蹴り上げ、フランキーはケイミーを解放しにステージへ駆けて行った。
次々現れる衛兵を、麦わらの一味は難なく倒していく。
『ロー!皆の所に戻ろ!』
ローはカナエを追求する事はしなかった。問いただしたところで、適当な言い訳を並べて、はぐらかされるだけだろう。
カナエは、何かを隠している。
(まァ、とりあえず……)
「今日は寝かせねェぞ。」
『また!?』