第17章 ちょっと借りるぜ。
「お前……面白ェじゃねェか。トラファルガーの女ってのも納得がいくな……」
キッドは機嫌が良くなった様だ。やはりワンピースを口にしたのは正解だった。
『ちゃんと女なのかどうかは微妙なんですけど……』
「観覧車でイチャついてたじゃねェか」
『見てたの!?どこから!?』
「俺達も隣りにいたんだよ。あのゴンドラ丸見えだろうが」
『乗ってたの!?似合わないんですけど!』
「うるせェ!!ダイスケが乗りてェってんだからしょうが無ェだろ!!」
だからって付き合わなくても………。
キッドは意外とお人好しなのかもしれない。ダイスケは顔を赤らめている。
(あの人もワンピース読んでたな………
じゃなくて!呑気にしゃべってる場合じゃ無い!!早く逃げなきゃ!!)
カナエは動こうとするが、キッドが上に乗ったままで身動きが取れない。
(どいてー!!)
「お前ら、部屋から出ろ。」
『え?』
船員達はキッドに従って部屋を出て行く。最後にキラーが出て行こうとした時、キッドに一言呟いた。
「気に入ったのなら、程々にしておけ。」
「おー。さっさと行け。」
キラーは部屋から出て行き、キッドと二人きりになった。さっき、キラーが言った事はどういう意味なのか。
「女、名は何だ。」
『カナエです………』
「そうか。カナエ………」
するとキッドは先程までとは態度を変え、真剣な眼差しをカナエに向けてきた。
「お前が気に入った。俺の女になれよ」
『はぁ!?』
何が気に入ったのか分からない。噛み付いて頭突きを繰り出した女のどこが良いのか。
「俺を怖れずに刃向かって来る女は初めてだ。ワンピースも信じてるしな。」
ワンピースを口にしたのが、そんなに効くとは。カナエは、自分で自分を追い込んでしまった。
「俺がラフテルまで連れてってやる……!!
トラファルガーの船から降りろ!」
『いっ……嫌です!』
「断るのか」
『私はハートの海賊団が好きなんです!』
それに、ローとも離れたくない。
「……だったら、その気にさせてやろうか……」
キッドはカナエに唇を重ねてきた。舌で口をこじ開け、無理矢理口内を掻き回す。
「最高に気持ち良くしてやる………!俺から離れられなくなるぞ!!」
(何で結局こうなるのー!誰か助けてー!!)