第10章 ナーニ・カール島
朝の仕事を終えた船員達は、久しぶりの太陽の光を堪能する為、甲板に集まっていた。
カナエも横になっているベポにもたれ掛かってリラックスしていた。
『ベポ、この船はどこに向かってるの?』
目的地を聞けば、どのくらいの時期に自分が来たのか把握できるかもしれない。
カナエは航海士であるベポに聞いてみた。
「次の島はナーニ・カール島だよ」
カナエには聞き覚えの無い島だ。
『ここはグランドライン??』
「そうだよ!もうすぐレッドラインも見えてくるはず!カナエは違う世界から来たのに詳しいな!」
ベポは感心している。
『べっ!勉強したの!』
カナエの世界でワンピースと言う漫画があるとは言えない。彼らが混乱するだけだ。
(やっぱりシャボンディ諸島よりは前……でもレッドラインが近いって事はもうすぐかな?)
「ナーニ・カール島は小さいけど栄えた港町があるんだ。治安は良いらしいから、カナエの買い物も安心してできるんじゃないかな。」
それは有り難い。
「あと、お酒が美味しい町だから酒場がたくさんあるんだって!」
『お酒…!』
「よっしゃー!じゃあ夜は町に繰り出そうぜ!なっ!カナエさん!」
カナエは目が輝いている。シャチも大喜びだ。
「ナーニ・カール島の酒場には絶対女の子がいるんだって!皆良かったなっ!」
『……え?』
「おいっ!」
「ベポ!てめェ!」
「カナエさんの前で言うなっ!」
「あっ!何かスイマセン……」
全員、何か慌てだした。
あぁ……そーゆーコトね……
『……別に隠さなくて良いよ。男なんだもん。私気にしないし、邪魔にならない様にするから一緒に飲みに行ってもいい?』
「さすが大人の女……!」
「話が分かるッスねぇ~」
その他大勢の船員達は、男の事情に拒否反応を示さないカナエに感動している。