第34章 そんな気分じゃない。
隣のキッチンにはサンジがいて、
カチャカチャと皿を洗う音が聞こえて来る。
その向こうからは、ブルックのギターの音色や
船のメンテナンスをしているフランキーの
木槌の音色。
何か大物が釣れたのだろうか。
甲板の方からルフィやウソップ、チョッパーの
はしゃいでいる声が小さく聞こえてきた。
この船は憧れのサニー号。
しかもここは、チョッパーの保健室。
彼が医術の向上の為、日々勉学に勤しんでいる部屋だ。
《ゆっくり休めよ!》
瞳をキラキラと輝かせて言ってくれた。
チョッパーはカナエの癒し。
この部屋にいると、どうしても純真無垢な
あの笑顔が脳裏に浮かんでしまう。
『あのっ……気持ちは嬉しいんだけど!
ここだと、そんな気分にはなれない……!!
なので、また後日に……』
「出来ねェよ。」
なんとかローに欲求を抑えてもらおうと、カナエはあれこれ代案を並べてみたが、彼は聞く耳を持たない。
力づくで阻止しようと肩を掴んでみても、虚しく服が伸びるだけ。
ローの唇は、下へ下へと容赦なく降りて行く。
『あっ……』
思わず声が漏れた。
こんな風に、誰かに触れられるのは半年ぶり。
カナエの全身がビクビクと、まるで処女の様な反応を見せる。
しかも触れているのは、毎日思い続けて
考えない瞬間なんて無かった、愛しい、俺様なこの男。
理性が吹っ飛んでしまいそうだ。
『ロー……!お願いだから……!」
「二年だぞ。」
『へぇっ?』
突然の一言に、カナエは間抜けな声が出てしまった。
相変わらずだな、とキスの嵐を止めたロー。
そして太股を持ち上げ頬を寄せて、ごくりと喉を鳴らしてしまいそうな程の妖艶な視線を
カナエに向けていた。
先程の瞳の奥で燃えているかの様だったそれは、見間違いでは無かったようだ。
「お前は半年でも、俺は二年ぶりだ。」
ローの熱い息が内腿を撫でる。
それだけで、鳥肌が立つほどの快感を感じた。
カナエの中が熱を帯びて、何かを訴えている。
「やっとでお前を抱けるのに、その気になれねェだと?ふざけるな。」
ここが何処だとか、誰かに声を聞かれたらとか、そんなのはもう関係ない。
「すぐ気持ち良くしてやる……俺は早くお前に挿れてェんだよ。カナエ……」
私も、早くローが欲しい。