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例のイケメンは凶暴な男。【ONE PIECE 】

第29章 帰る方法


『嫌われるって…何だろ。』

「分からねェ。だが爺さんはその後、もう一つ分かった事があったらしい。」


ロジャー海賊団が去ってから15年程経った頃、
物資の補給の為、島に商船がやって来た。

その中に異世界から来た青年がいた。
その事に気づいた老人は声を掛け、ログが溜まるまでの滞在中に話をする事ができた。

歳は23で、5年前にこちらの世界に来た。
気が付いたのは今乗っている商船。
最初は警戒され牢屋に閉じ込められたが、何とか信用して貰い、雑用として働く事になった。

船の中と言う事以外、自分が一体どこに来たのか分からなかった。

その商船は世界中の貴重な書物を商品として扱っていて、何か分かるかと本を片っ端から調べた。そして、この世界の事を知ると同時に、ある事に気が付いた。
自分のいた世界の事を記す物は何も無い。


「写真が残っていたとしても、そいつが異世界の人間だという証拠は何も無い。その世界に関する文献なんかも何処にも存在しない。誰も日記やメモすら残して無ェ。航海をしている間に少しずつ分かったらしい。」

『だから本は必要無くなったって言ってたんだね……。でも、どうしてだろ……。』


男もそれを疑問に思った。
そして男はある可能性に気付く。
自分の知識や、異世界の事を書き記してみようとペンを手に取った、その時だった。

文字が書けない。腕が動かない。
目の前が真っ白になる。
思考回路が止まる。

男はペンを手放した。


『その動けなくなったのが、世界に嫌われたって事?皆、帰れたから何も残ってないのかな……。』

「違うだろ。それで帰る事が出来たんなら、男は爺さんに会ってねェ。」

『だよね……お爺さんもロジャー達に異世界の話をしてもこっちに居るし……その人の知識ってのが関係あるのかな……。』

「その男は肝心な事は言わなかったらしい。」

『うーん。よく分からなくなってきた……』

「……お前は、その知識に心当たりがあるんじゃねェのか。」

『え……?』

知識って……まさか。

ロジャーに会った、元の世界に戻る方法を知っていた男もそうだったのだ。
海賊である彼等の事を大好きだと言ったのは
カナエと同じだったからだ。

この先、必ず起こる現実を知っていた。

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