第1章 アイドルになれる!
引越しが終わり、握りしめたライブチケット片手に野外ステージのある公園へ向っていた。
ふと、チケットに書いてある時間とお気に入りの腕時計を見る。
「間に合いそうかな」
別にまた芸能界に戻るわけじゃないし不安はなかった。
ただとにかくIDOLiSH7を見たい!あの歌声と軽やかなダンスを生で体感したい一心だった。
「楽しみだな・・・。生でアイドルだぞ。キラキラしてんだぞ」
歩幅は広がり駆け足になる。
視界には機材用のコンテナが見える。もうすぐだ。
顔から笑顔がこぼれる。男性アイドルが好きな中学生でなにが悪い。
コンテナの並ぶ広場を越え、カメラを避けるように下を向きながら会場へ向かう。
前をチラチラ見ながら進んではいたが都会にきて間もない俺はステージの裏手に来てしまった。
「ちょっとそこの君」
「へ?」
パーカーを羽織った男性に呼び止められてしまった。
ふと顔をあげてパーカーさんは俺の被ってた野球帽を取り上げる。
「金城千里の・・・。たしか、昴くん・・・だっけ」
「母さんのこと・・・って、違います!人違いです!」
目の前の長身パーカーさんの俺の芸名を避けるように回れ右で走り去る。
「待てよっ!待てって!」
あの男性が俺についてくる。構うな、構うな。振り返るな。
次第に足音が近づき肩を掴まれる。
「逃げるなよ・・・ったく。メンバーが話したいんだと。会ってやってくれないか」
「・・・・・・二階堂大和」