第23章 渡/ほのぼの*イベント小説※キスのみ
「渡くん」
「ん?」
「あのね…私 渡くんのこと…」
*
最近、よくバレー部の見学をしに
体育館へ行くのが多くなった。
原因は私の友達にあり…。
どうやら及川先輩という、
イケメンさんを見に行っているらしい。
(正直…かっこよさがイマイチ
わからない…)
私は友達や親にも言われるほど、
イケメンに疎いらしく
どんなイケメンさんでも
そこまでじゃないなぁ、と
思ってしまう性格らしい…。
でも、そんな私にも、
かっこいいな、なんて思う人が1人…。
「はぁ〜!!やっぱり
及川先輩 かっっこい〜!!!」
「そ…そうかな
私はあの坊主の人 すごいと思うけど…」
「えっっ?!?!」
とんでもない顔だなぁ…。
そんなに衝撃的な事を言ったのか 私。
「えっと、渡くんだよ 6組の」
「同い年…?」
「知らないんだ…」
「うん…ごめん…」
でも、なんか一所懸命な所
凄くかっこいいと思う。
「かっこいいなぁ…」
私がそんな事を言うものだから、
私の友達は勘違いをしたようで、
ニンマリと笑む。
「へぇ〜 かっこいい…ねぇ?」
「え?」
*
緊張するって、今の事を
言うんだろうな…。
「ほぉら!名前!
渡くんだよ!
ちゃんと言わなきゃっ!」
今、私の目の前には
噂の渡くんがいる。
昨日、かっこいいなんて
言うんじゃなかった…。
「えっと…なんか
話 とかあるの?」
黙っている私を見かねたのか、
渡くんが話しかけてくれた。
(とりあえず…思った事を
言えばいいのかな…)
「えっと…バレーしている姿
凄くかっこいいと思います」
「…へっ?!?!」
「へ?」
驚く渡くんを不思議そうに見つめると、
たまらず友達が割って入る。
「ちょちょちょ!え?!
そうゆうことサラッと
言っちゃう?!」
「言えって言ったの そっちじゃない…」
「そぉだけどさ!?」
チラリと渡くんを見ると、
嬉しそうに頬を赤らめ 口角を
あげる姿が目に入る。
「ありがとう、名前…さん!
そういう事言ってくれる人、
なかなかいなくて…めっちゃ嬉しい!
僕…もっとがんばるから!
また、練習見に来てくれる?」
そんな姿が、なんだか微笑ましくて
私はコクリと頷いた。