第53章 田中/耳フェチ
田中さんは、なにフェチ
なのだろうか。
最近彼氏になった田中龍之介。
そんな彼氏に弱みを
握られっぱなしで、
握ったことが無い。
私だって一つは握っていたいものだ。
(フェチぐらい知れたら
弱み握ったことになるんだけど…)
でもどうやって見抜くのかなど、
私にわかるはずもなく、
真っ向勝負に挑もうかと考えていた。
「田中さん」
「うぉ? 名前!
いい加減名前で呼べよ〜」
うりうりと頭を撫でられる。
「なんか先輩だし 言いづらくて…」
「先輩でも 彼氏でありますぞ!」
フンッと 胸をはる田中さんを
微笑ましく思いつつ、
本題に入る。
「田中さんは…フェチ…とか
あるんですか?」
「んぇ?あぁ 考えたこと
なかったな〜」
そう言ったかと思えば、よし!
と 立ち上がった。
「んじゃ 調べてみよーぜ!」
「へ?」
*
そんな事があり、今
田中さんのお宅にお邪魔しております。
どうやらお姉さんは外出の
模様…なんというタイミング。
「おれのフェチか〜
とにかく名前 探ってみろ!」
そんな事を言われても…と
言いつつ、頭や、頬、首等に
触れてみる。
「どこもイマイチだな…」
足や太もも、背中、指等を
ふれるが、これもイマイチ。
抱きしめてるが、何もないらしく…。
(フェチないのかな…)
と諦めかけ、耳元でため息を
ついたその時…。
「んあっ?!」
バッと離れると、驚いた顔で
口に手を当てる田中さんと
目が合う。真っ赤だ。
「田中さん…耳?」
そう呟いて、すかさず
耳に触れてみる。
「んやぁああ!」
ビクビクと震える。
(ビンゴ!!!)
私はサワサワと耳をいじる。
「んん やぁ 名前っ
んああ!!!」
いつも、キリッとしてる田中さんが
赤くなって喘いでいる。
(可愛い…!)
耳たぶを摘んで擦ったり、
耳の裏を引っ掻いたり…
その度に喘いでいた。
(やばいやばい!)
「可愛い…」
ぼそりとつぶやくと、
ムッと睨まれる。
「か、かわいくなんきゃあ
ああ!ん やぁ ないん…
らぞぉ お ああん…!」
睨まれても、耳を弄れば
すぐにヘナヘナとおれる。
(弱みにぎったー!!!)