第1章 プリンセスの誘惑
「ローズ様ー、起きてますかー」
(って、ゼッタイ起きてないだろうけど)
ローズ様は、朝に弱い。
俺が行くまでに起きていた試しがない。
寝顔は可愛いし、起き抜けの表情は色っぽいしで、理性と戦う年頃の男としては、寝ていて欲しいなという気持ちと、寝てたら困るな、という気持ちが半々だ。
薄暗い部屋に入るとまず、カーテンを開けた。
今日は久しぶりに良い天気だ。そろそろ朝は涼しくなってはきたが、この分だと昼はかなり暑そうだ。
「ローズ様、朝ですよー」
昼のティータイムは冷たいカモミールにでもしようかな、など考えつつ再度ローズに声を掛けるが、案の定ベッドから返事は返って来ない。
苦笑しながら近づくと、布団にくるまって顔だけ出したローズが寝息をたてていた。
彼女を起こすには、部屋を明るくして布団を一気に剥ぎ取り耳元で囁く、これに尽きる。
最初の頃は、プリンセスだし・・・と遠慮して布団を奪うまではしていなかったのだが、それだと余りに起きないので、早々に今のスタイルに落ち着いた。