第1章 契り(加州清光)
「主が死ぬなって言うなら、俺は絶対死なないよ」
驚いたように潤んだ瞳をぱちりと見開く。
「そんなこと、できるの…?」
「なんたって俺、性能はピカイチだから」
まぁその代わりちょっと扱いにくいんだけどね、とおどけて付け足すと、主はくすくす笑って「そんなこと無いよ」と赤くなった目ではにかむ。
「ねえ主、俺に戦えって命令して?」
少しだけ甘えた声でねだる、残酷なお願い。
俺は刀で、主は審神者。
だからこれが正しい在り方なんだよね。
暫し間が空いて、それから遠慮がちに主は言った。
「私、こんな頼りない審神者だけど、一緒に戦ってくれますか」
「当たり前じゃん。その代わり……」
ちゃんと俺のこと愛してね?
濡れた頬に口づけを一つ。
[了]