第51章 我が本丸の様子
〜 数分後 〜
あれから、ずっとまんばくんに抱きしめられている
特に会話をすることもなく、雨音を聞きながらただくっついてるだけ
情緒不安定なのかな…なんて心配になっていれば、まんばくんが口を開いた
山姥切「……悪い」
『ん?大丈夫だよ?……その、聞いていいか分からないけど…何かあったの?』
山姥切「いや…別に……」
気まずそうにまんばくんは身体を離して俯いた
『何でも聞くよ?どうしたの?』
私が顔を覗き込めば、まんばくんはそっと話し出した
山姥切「……昔のことを、思い出していた…」
『昔のこと……?』
山姥切「あぁ。あんたが来る前のことをな…」
前任との事かな…?
やっぱり、嫌なことってなかなか忘れられるものじゃないんだよね…
黙って聞いていれば、まんばくんは再び雨空を見上げて呟いた
山姥切「俺達が絶望に狩られたあの日も……雨だった。だから、雨を見ると嫌な記憶が蘇る……」
『…そうだったんだね。その嫌な記憶を忘れるのは、この先もきっと無理だと思う…けど、その嫌な思いを少しでも私が軽くできたらいいなって…思ってるよ?』
私の言葉にまんばくんは目を見開いて驚いたような表情を浮かべたが、すぐに笑みを浮かべてくれた
山姥切「……やっぱり、あんたのそばに居ると自然と嫌な記憶が吹き飛ぶな…」
『ほんと?じゃあ、嫌な記憶がまた蘇ったら…私のとこに来ていいから!一人で辛い思いしないでね?約束!』
私は小指を突き出せば、その小指にまんばくんの小指が絡まった
山姥切「……ありがと…な」
その瞬間、こっそり私はカメラのシャッターを下ろした