第21章 小さいだけで天使
『早く早く〜、逃げられない内に〜…ってうわっ!!』
和泉守「うおっ……!!」
左文字派の部屋に向かう途中、走っていたせいか曲がり角で派手に誰かとぶつかって私はそのまま尻もちをついた。
『いったー……』
和泉守「おいおい、大丈夫かよ…」
『あ!兼さん!』
顔を上げれば和泉守がいた。
和泉守と呼びにくい為、私は可愛い可愛い堀川の真似をして見た。
和泉守「……それ、国広の真似かぁ?」
『バレたか。だって和泉守とか呼びにくいし、私も兼さんって呼ぼうかなって!』
和泉守「主に兼さんとか言われてもなぁ、なんか違和感あるだろ」
『文句が多いイケメンだな……しかたない、和泉守って呼ぼう』
和泉守「(今のは褒められたのか……?)」
私は声をかけながら手を差し出した。
すると和泉守はなんだ?と言うような顔をしている。
おい、普通女の子が転んだら手を差し伸べてくれるのがいい男じゃないか?
「大丈夫か?」とか言いながら身体を起こしてくれて、「今度から気をつけろよ?」って頭を撫でてくる男なんて良くないか!?
和泉守「……それは現代でいうマンガとやらの読みすぎだぜ、お前」
『あれ、口に出てた?』
和泉守「ばっちりな」
『あはは、ごめんごめん、口が緩いみたいで!』
やべぇ、口に出てた……恥ずかしい!
そんなこんな和泉守と話していれば、堀川が小走りで走ってきた。