第16章 酔い潰れにはご注意
『……あ、ごめん…』
なまえは俯きながら清光から手を離した。
どうしてかわからないが、何故か1人にはなりたくなかった。
それで咄嗟に清光を引き止めてしまったのだ。
加州「主、ほんとに大丈夫?」
清光は心配そうに目線を合わせながら目の前にしゃがんでくれた。
『なんか…1人になりたい気分じゃなくて…傍にいて欲しいなぁ……なんて思っちゃった…』
加州「もちろん、傍に居るよ?俺は何処にも行かないから……ずっと主の傍にいるからね」
そう言って清光はなまえの身体をぎゅっと強く抱きしめた。
それに答えるように、私も清光を抱きしめた。
安心感に涙が溢れそうになるがぐっと耐える。
『清光…』
加州「ねえ、主…こんな薄暗い部屋で主に求められて…俺、我慢出来なくなるよ?」
いつもより低い声で耳元に囁いてくる清光。
その耳にかかる吐息につい肩をびくつかせてしまう。
『え…我慢って……』
加州「ここには、俺と主が2人きり……薄暗い部屋に布団もある…。それに主も俺を求めてくれてる…これって、我慢しなくてもいいってことだよね…?」
いつもは女子力が高くて可愛らしい清光だが、今は違う。
そのニヤリと笑った顔は可愛いとはかけ離れたものだった。
『き、清光…?何言って……』
加州「俺だって男なんだからね?」
『えっ…清光、待って……ひゃっ!』
少し後ろに下がるが、手首を掴まれれば布団にそのまま押し倒された。