第79章 審神者復帰
皆が座れば私が皆の前に立つ形になった
この緊張感……出会った頃みたい……
そんなことを考えながら皆を見れば、皆泣きそうな顔をしていた
その顔は不安感なのか安心感なのかわからない
この状況で私は何を話せばいいの?
え、ちょっと待って、頭が真っ白…!
なんて言う?皆に何を言う?
わからない……でも、今話すことは……
『皆、ごめんね』
私が謝れば再び不安げな表情を浮かべる皆
こんな顔させたくない………
『私の力不足で、今回も皆に迷惑をかけました…。数日間、皆と離れて…ずっと考えてた。私って…審神者に向いてないんじゃないかなって…。この本丸に来て、前任に二回遭遇したけど…皆強かった…。私なんかじゃ足元にも及ばないくらい強くて…。あぁ、これが審神者の力なんだって思い知らされた。こんな弱くて…本当に皆のこと守れるのかなって…すごく不安になった…。もう審神者なんてやめた方がいいんじゃないかって…』
今まで思ってた不安が口からポロポロと零れる
それと同時に涙が溢れた
蛍丸「主……」
『でも…離れてる間も…頭の中に浮かぶのは皆で……今何してるんだろうとか…、無事なのかなとか…色々考えてた…。それに、前任なんかにも勝てない…その上前任から皆を守れない自分に嫌気がさしたっ…そんな私の事、皆だって恨んでると思う…。本当にごめんなさい…皆は審神者を選べないんだもんね…こんな審神者でごめんね……』
三日月「主よ。それは違うぞ」
『……え?』
三日月「確かに俺達は審神者を選べない。だが、主が今の主で"嫌だ"とか"不幸だ"なんて思ったことは無いぞ?主が来てから、この本丸は明るくなった。絶望から救ってくれたのは主…其方だぞ?主が居なかったら、俺達はもうこの世にはいなかっただろう。俺達は物だからな…命の恩人と言ったら違和感があるかもしれないが…人の身を持っている今、主は俺達の命の恩人だ。一度も、弱いと思ったことはないし、恨んだ事もない。主には感謝しかないんだぞ?」
『三日月…っ』
岩融「三日月の言う通りだ!俺らを救ってくれたのは紛れもなく主だ。だから、主が困った時は俺らが助けよう!」
小狐丸「ですから、これからもお傍に居てください…主」
『皆…ごめんね…ありがとっ……』
皆の優しい言葉に自然と笑みを零したが、私の意識はそこで途絶えた