第73章 本 丸 に 迫 る 影
『なに、言ってるの…?主は私だよね…?』
恐怖と不安で目から溢れる涙が止まらない
こんなの、出会った時と一緒じゃん…
薬研「あんたが大将?寝言は寝て言ってくれ」
加州「そうそう、主はお前じゃないよ」
『どうしちゃったの…みんな…おかしいよ…?』
小狐丸「おかしいのは貴女ですよ」
気付けばみんな私の周りを囲むように立っていた
刀を鞘から出してる者もいれば、ただただこちらを睨みつけている者もいる
その光景に私は自問自答を繰り返す
私は何をしたの?
ずっとずっと刀剣達を愛してきたのに…なにか間違ってたの?
そんなことを考えていれば、どこからか前任の声がした
その声と共に刀剣達はさっと道を開ける
前任「脆いね、お前」
『…え…?』
前任「さっきの勢いはどこに行ったの?私が刀剣達を守る〜なんて言ってたけど…その刀剣達に敵視されてたんじゃ守れるものも守れないよね?」
そう言って卑屈に笑いながら見下してくる前任
その前任を見て刀剣達は何も言わない
…どうして?どうして酷い目に遭わされた前任の味方をするの?みんな…やだよこんなの…
大好きだった刀剣達の冷たい目を見れば、更に涙が溢れてくる
『っ…やだよ…やだ、やだ、やだ…私の大好きだった皆はこんなんじゃないよ……!!!』
前任「うるさい女…やれ」
その言葉に三日月が私に向かって刀を振り下ろした
私はハッとして手に持っていた刀で反射的に防御した
三日月「…!」
『こんな所で…死んでたまるかっ…!!!』
死ねない…私にはまだやるべき事があるんだ…!
こんな前任に刀剣達を任せられるわけないっ…!
そうは思っていても、三日月の力には敵わずどんどん押されるばかり
このままじゃ…斬られる…!!!